研究課題/領域番号 |
23K00421
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
林 千宏 大阪大学, 大学院人文学研究科(言語文化学専攻), 准教授 (80549551)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | ピエール・ド・ロンサール / 『恋愛詩集』 / ニコラ・ドニゾ / マルク=アントワーヌ・ミュレ |
研究実績の概要 |
計画においてはこの期間には,レミ・ベローの作品『牧歌』の構造とその出版形態との関係を明らかにするとともに,ロンサールの『恋愛詩集』および彼が繰り返し発表した『作品集』の果たした役割について考察する予定であった。これまで『牧歌』や『恋愛詩集』に関しては多くの研究が行われてきたが,印刷本としての観点からの詳細な分析についてはまだ十分とはいえなかったからである。そこで初年度に取り上げ考察したのは、ロンサール『恋愛詩集』(1552-1553)において、挿絵となる肖像画を制作したと考えられているニコラ・ドニゾ(Nicolas Denisot, 1515-1559)である。ル・マン出身の詩人・画家のニコラ・ドニゾは、彼自身も数冊の詩集を出版しているが、『恋愛詩集』初版(1552)巻頭に挿入されたロンサールとカッサンドルの肖像画を制作したと考えられている 。今年度の研究は、ドニゾによって制作されたロンサールとカッサンドルの肖像、さらには『恋愛詩集』第2版に掲載されたマルク=アントワーヌ・ミュレ(『恋愛詩集』に注釈を加え、また曲を提供)の肖像画を検討し、さらにロンサールによって複数の詩で言及されたその表象を分析することで、この両者が組み合わされて、読者を現実と虚構の入り混じった『恋愛詩集』の世界、ロンサールを中心とした詩人、芸術家たちの牧歌的世界に招きいれる構造を成していることを明らかにした。こうした構造は同時代の書物においては画期的であったのではと考えらえるため、引き続き研究を続けていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先にも述べた通り、計画においてはこの期間には,レミ・ベローの作品『牧歌』の構造とその出版形態との関係を明らかにするとともに,ロンサールの『恋愛詩集』および彼が繰り返し発表した『作品集』の果たした役割について考察する予定であった。ベローの『牧歌』にかんしての研究も継続中であり,ロンサール『恋愛詩集』についても,一定の成果を上げられているため,おおむね順調であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2024年はロンサールの生誕500周年に当たる。研究計画においては、本年、申請者が編集委員として関わる国際誌『ロンサール研究』(Revue des Amis de Ronsard)において交流のあるフランス,スイスの研究者に協力を要請し,フランス国立科学研究センターの1つIRCL(ルネサンス・古典・啓蒙時代研究所)やソルボンヌ大学を訪れ,研究発表・意見交換を行うと同時に,日本においてもロンサール生誕500周年を記念する国際学会を開催し,海外から研究者を招聘して日本の研究者との連携も図る予定であったが,すでに4月には研究者を招へいし、関連するテーマでの講演会を開催した。それ以外の計画についても現在進行中であるため、引き続き実現に向けて尽力していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は本科研費(基盤C)の前に取得していた科研費(若手:新型コロナウィルス流行による影響により規定の期間を超えて使用)の最終年度に当たっていたため、そちらの科研費で行く予定になっていた出張などが今年度にずれ込み、結果として次年度使用額が生じることとなった。
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