研究課題/領域番号 |
23K00428
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
粂川 麻里生 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (00317504)
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研究分担者 |
久山 雄甫 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (70723378)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 生命論 / 雰囲気学 / 現象学 |
研究実績の概要 |
2023年度は、粂川が勤務校でサバティカルを取得し、一年間ドイツ・ベルリンを拠点に研究活動を送ることができたため、本研究に関連する研究者のネットワークを構築し活性化するという本年度の目標は想定上に達成できた。粂川はベルリン・フンボルト大学、イタリアのトリノ大学、パレルモ大学、ベルガモ大学で招待講演を行い、現地の研究者たちとの交流も深め、今後の共同研究の計画をより緊密かつ大規模に共有することとなった。具体的には、フンボルト大学オラフ・ミュラー教授とは一月に1、2度のペースで色彩論の研究会を開催した。同じくフンボルト大学ホルスト・ブレーデカンプ教授とは「イメージ学」の文脈で意見を交換し、「形態学」と「イメージ学」の融合を見据えた共同研究のプランを明確なものとした。トリノ大学フェデリコ・ヴェルチェローネ教授、パレルモ大学サルバトーレ・テデスコ教授、ベルガモ大学エレーナ・アガッシ教授とは、粂川の行った招待講演に基づき、領域横断的な美学研究、デザイン論研究の文脈で協働していく視座が築かれた。 なお、多くの活動を現地の研究協力たちの計らいで「招待講演」という形で行うことができたため、当初予定していた旅費としての出費は少なくなった。 久山もドイツ、イタリア、スロベニア、台湾、日本でゲーテ形態学の思想に基づく「雰囲気学」の講演を行い、この新しいテーマへの協力者を多く見出すともに、そのネットワーク化を進め、やはり協働計画を具体的に立てることができた。 研究論文は粂川が1本、久山が2本執筆した。いずれも本研究の最初の中間発表的な性質のものであり、研究史を大きな文脈でまとめ、今後の研究の課題を明確にするというタイプの論考であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
粂川が2023年度サバティカルでドイツ・ベルリンに滞在中、ベルリン・フンボルト大学哲学科オラフ・ミュラー教授、同大学ホルスト・ブレーデカンプ教授、イタリア・トリノ大学フェデリーコ・ヴェルチェローネ教授、同じくパレルモ大学サルバトーレ・テデスコ教授など多くのヨーロッパ在住の研究者たちから、当初の想定以上の支援が得られ、粂川自身による講演も予定よりも多くの場所で、より多くの聴衆を得て行うことができ、意見の交換と議論の深化および人脈の拡大において予定以上の大きな成果があった。 久山もドイツとイタリアを中心に講演活動を行い、各地で議論を深めたが、やはり当初の想定以上に質量ともに豊かな反応が得られ、2024年度以降の活動内容が大幅に豊かなものとなった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の成果を踏まえ、本年度11月にゲーテ自然科学の集いのシンポジウムを開催し、美学と教育方面におけるゲーテ自然科学を議論するシンポジウム(参加者は日本国内、日本語)を開催する。さらに12月にはドイツ、イタリアから研究協力者たちを招いたシンポジウムを開催し、本研究プロジェクトで行う協働をより明確化する。当初予定していたよりも早期に大規模な国際シンポジウムを開催する可能性が出てきたため、予算を前倒しして使用する必要が考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
一つには、2023年度に予定していた海外出張の多くが「招待講演」として行うことができた。第二には、2023年度の成果により、当初の予定よりも早めに大きめの国際シンポジウムを開催する可能性が高まった。以上二つの理由により、2023年度の支出が小さくなり、2024年度の支出が予定よりも大きくなることになった。
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