研究課題/領域番号 |
23K00469
|
研究機関 | 至学館大学 |
研究代表者 |
二村 洋輔 至学館大学, 健康科学部, 助教 (50908382)
|
研究分担者 |
樋口 謙一郎 椙山女学園大学, 文化情報学部, 教授 (40386561)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 原住民 / 戦争文学 / 英領マラヤ / 帝国日本 / まなざし / 比較文学 |
研究実績の概要 |
2023年度は主に、本研究課題の根幹をなす、英領マラヤと帝国日本の戦争文学を比較文学的に分析する理論的枠組みの構築を試みるとともに、その枠組みを用いた作品分析を行い、その研究成果を発表した。 理論的枠組みに関しては、当初予定していた通り、従来の研究における方法論とその問題点を改めて整理したうえで、<原住民>表象に焦点を当てた比較文学的研究アプローチの模索を行い、その研究結果の一部を国内外の学会、国際会議にて発表した。これまでの研究において上記の戦争文学はそれぞれが別の分野にて研究されてきたが、それを比較文学的に捉えるフレームワークを提示することにより、同戦争文学を接続させて分析する視点を生み出した。同時に、研究成果発表の折には、様々な研究分野の研究者より有益なフィードバックを受け、方法論的には依然改善の余地があることも認識した。特に、作品を分析していくなかでの現地英字新聞などの史料の、より有効な活用方法を考案していく必要がある。本理論的枠組みに関しては、研究計画通り、作品の分析を行なっていくなかで継続的にアップデートし、より洗練されたモデルを構築していく予定である。 作品分析に関しては、チン・キー・オン、アグネス・キース、里村欣三、井伏鱒二の作品を対象に行い、研究成果の一部を論文として発表したのに加えて、国内外の学会、国際会議においても発表した。次年度においてもこれら作家の作品に加えて、他の作家の作品の分析にも取り組んでいく予定である。 上記に加えて、英領マラヤおよび帝国日本における原住民の表象を考察していくなかで、それが非常に流動的な概念であることが明らかになってきた。今後の研究においては、両地域における<原住民>概念を批判的に捉える、比較文化的研究に関しても発展的に取り組んでいきたいと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ感染症後、各国への渡航規制が緩和されたこともあり、国内外における調査活動および研究成果発表は滞りなく行うことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
継続的に本研究課題の根幹である比較文学的枠組みを(再)構築するとともに、それを用いた作品分析を行なっていく。また、<原住民>という概念を批判的に考察する、比較文化的研究にも発展的に取り組んでいく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究のための調査・成果発表において、可能な限り経済的な方法にて旅費を運用した結果、若干の次年度使用額が生じた。次年度以降の調査・成果発表の際の旅費に充填する予定である。
|