研究課題/領域番号 |
23K00493
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研究機関 | 沖縄国際大学 |
研究代表者 |
小嶋 賀代子 (下地賀代子) 沖縄国際大学, 総合文化学部, 教授 (40586517)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 言語継承 / 琉球語 / 多良間島方言 |
研究実績の概要 |
本研究は、「多良間」という地域の状況に適した学習環境の構築とその中で用いる多良間島方言の学習コンテンツの作成を目指している。しかし、学習コンテンツがあるだけでは言語の継承にはつながらず、コンテンツの作成と同時に新たな話者のための学習環境を構築する必要がある。さらに、その学習環境のあり方は地域の状況に即したものでなければならない。 これらのことをふまえ、本研究では、人々への具体的なアプローチを通して、多良間という地域に適した継承活動のあり方を模索し、継続的な方言学習環境の構築を目指す。具体的には、多良間幼稚園と協働して継承活動、方言学習を展開することで、子どもたちだけでなく、その保護者(親、祖父母)にも方言学習に対する動機づけを試みる。 2023年度の研究活動について、まず、現場の先生たちと幼稚園教育に活用できる学習コンテンツとその実践方法についてのディスカッションを重ねることができた。多良間島方言の紙芝居の作成を目指し、題材の選定、日本語による再話、ストーリーボードの作成と内容の検討を、協働で進めた。また、島の方に作画を担当いただけることになり、その作画者とも、絵をどのように作成していくか、具体的な流れと計画を立てることができた。学習コンテンツの完成に向けて、大きく前進した。 また、多良間幼稚園の先生方と一緒に、「令和5年度 危機的な状況にある言語・方言サミット(与那国島大会)」(2023年10月14日・15日、与那国町立久部良小学校)にも参加した。各地で行われている方言教育・方言学習に関わる取り組みについて、さまざまな知見を得ることができた。 その他、本研究課題における当該年度のとりくみについて、 「第16回 琉球継承言語研究会」(2024年3月24日、琉球大学)で報告し、会場から、今後の活動の展開についての助言を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現場の先生たちとのディスカッションを順調に重ねることができ、多良間島方言の紙芝居という学習コンテンツの完成に向けて、具体的な作業を進めることができたことから、 本研究はおおむね順調に進展していると評価できる。 また、交付申請書の「研究実施計画」にも記していた、現場の先生方と一緒に、各地で行われている方言教育・方言学習に関わる活動事例について視察するという内容も、「危機的な状況にある言語・方言サミット」の参加によって、実現できたと捉えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画について、まず次年度の活動内容として以下の3つを予定している。 (1)多良間島方言テキストの作成と、そこで用いられていることばと内容の検証 (2)学習コンテンツ(多良間島紙芝居)の本文で用いられている語彙・表現、発音およびイントネーションの練習用教材の作成 (3)モデルとなる朗読音声の収録と「読み」練習 いずれの活動も、新たに多良間島方言に堪能な話者の方の協力を得て、すすめていく予定である。新たな協力者は幼稚園の元教諭であり、すでに協力いただいている先生方を通してコンタクトをとることができている。また、2024年8月には、京都工芸繊維大学の山本史氏を島にお呼びし、作画者へのデジタル画作成のレクチャー、また島の方に向けたワークショップを企画している。 その他、多良間における方言教育および方言学習の現状とその問題点をより明確に把握するために、多良間村の教育委員会の協力を得つつ、教育機関などにおける方言教育及び方言学習の現状(実施状況、成果等)、さらに、地域の人々の、方言学習および継承活動に対する意識に関する調査も実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品の購入が当初の予定よりも少なかったことがまず挙げられる。また旅費についても、調査出張の回数自体は予定通りだったものの、短期間としたため、当該助成金が生じる結果となった。 翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画の主なものとして、多良間島および他地域への調査出張の旅費、練習用教材の作成費、2024年8月に企画している、京都工芸繊維大学の山本史氏の招聘に関わる費用(旅費、謝金、会場使用料、等)を予定している。
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