研究課題/領域番号 |
23K00494
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山村 崇斗 筑波大学, 人文社会系, 助教 (30706940)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 不連続等位構造 / 不連続名詞句 / 関係節の外置 / 史的統語論 / 生成統語論 |
研究実績の概要 |
名詞句内の前置詞句や関係節の分離は、現代英語でも可能だが、昔の英語のテクストにも観察されていたことが注目されている。共時的な通言語研究では、前置詞句や関係節の他、等位接続構造からの一方の等位項の分離も含め、Boskovic (2014 et seq.)やOda (2017 et seq.)によって近年広く研究されており、DP言語とNP言語の類型的相違に結びつけられてきている。報告者の以前の研究成果から、等位接続構造から等位項の一方が分離される現象は古英語から中英語まで観察され、初期近代英語ではほとんど消失したことを報告した。等位接続構造の分離と前置詞句や関係節の分離が同じ統語操作で派生されると仮定すると、各構文の英語史における生起頻度の推移を調べることで、英語はNP言語からDP言語へと変化したという英語史研究の通説に対する新たな知見が得られることが見込まれた。 報告者は等位接続主語の分離と主語からの関係節の分離を含む史的テクストを時代の下位区分(古英語期(前期・後期)、中英語期(1~4期)、初期近代英語期(1~3期)、後期近代英語期)毎にどのように分布していたかについて調査した。その結果、等位接続主語の分離の消失は初期近代英語1期の前後(1500年頃)であったが、主語からの関係節の分離は古英語期から後期近代英語期まで英語史を通じて非分離構文との割合で20%を下回らないことがわかった。この結果の理論的説明を試みたものがTsukuba English Studies 42で研究論文として掲載されている。そこでは、関係節は名詞句に付加する構造を歴史を通して維持している一方で、英語の等位構造は1500年頃以降に変化したと論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた分離した要素の生起位置の特定には至らなかったが、後期近代英語期までの史的電子コーパス調査を完了することができた。令和5年度終了時までに英語のDP言語への変化に関する研究への経験的・理論的貢献を目指し、生成文法理論に基づく統語分析の可能性を挙げ検討している。しかし、関係節の分離の通じ研究では、時代が現代に近づくにつれて減少するという主張が先行研究では一様になされているため、彼我の調査の前提、手法及び分析方法など見直すべき点がみえてきたところである。
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今後の研究の推進方策 |
助動詞を含む主節または従属節に限定するなどして、調査を行ない不連続名詞句の分布を推定する予定である。その際には検索対象を主語だけでなく目的語にも範囲を広げて全体像の把握に努める。DP言語とNP言語の違いについての研究にも引き続き着目する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定になっていた国外の学会への出張が取りやめになったため、旅費の支出が低調となった。当該残額については、今年度の出張や人件費にかかる経費に充てる予定である。
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