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2023 年度 実施状況報告書

チュルク諸語南西および南東グループの周辺部諸方言の総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K00524
研究機関岡山大学

研究代表者

栗林 裕  岡山大学, 社会文化科学学域, 教授 (30243447)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワード事態把握表現 / ナル的表現 / トルコ語 / チュルク諸語 / 主題化 / 限定性 / 決定木分析 / 対照言語学
研究実績の概要

令和5年度はチュルク系諸言語の自動詞的事態把握表現(いわゆるナル的表現)について、チュルク語南西グループ (トルコ語・アゼルバイジャン語・トルクメン語)及びチュルク語南東グループ(ウズベク語)の間でみられる相違についての客観的な基準の提示に注力した。そのための有力な方法として統計的分析による言語分析法の開発などの総合的なアプローチが考えられ、それにより言語内的・外的要因が言語変化に及ぼす影響を比較するための普遍的な枠組みを構築する必要がある。
本研究課題の研究目的の一つは自動詞的事態把握表現について、共通の翻訳テキストに基づいてチュルク諸語内での漸次変化・推移の状況を解明することである。当該年度はチュルク語南西グループ(トルコ語・アゼルバイジャン語・トルクメン語)及びチュルク語南東グループ(ウズベク語)でみられる類型論的特徴の相違の原因の解明するため、言語の変化を比較するための共通する枠組みを構築して、多角的なアプローチの実施に繋げた。具体的には自動詞的事態把握表現に文脈レベルの視点を導入し、カッパ係数などの統計的手法を用いて独自の計量的分析を開発し、実際の言語分析を実施した。トルコ語の辞書の全数調査からは、トルコ語の自動詞と他動詞の対立はほぼ同数であるがウイグル語では若干、自動詞型が優勢になる傾向がみられる。しかし自動詞的事態把握表現や主題化表示が文脈から受ける影響について、客観的な指標に基づく分析からは十分に明らかにされているとはいえない。当該年度では共通する翻訳テキストの対照的研究を中心に実施して、電子化コーパスを利用しつつ文脈レベルで生じる主題化や事態把握についての解明を一歩進めた。また年度末に研究集会を共催して研究成果の発表を行った(2023年度ユーラシア言語研究コンソーシアム年次総会)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

事態把握表現については、研究発表を3回(そのうち国際研究集会1回)を実施し、研究の方向性についての点検を行った。主題化とそれに密接に関わる限定性については研究発表1回を実施し、今年度の成果のとりまとめとして主題化についての学術論文1本を執筆した。その他に、事態把握表現に関わる言語表現と文化の関わりに関する招聘講演(カザフスタンとトルコ:オンライン)を2回実施し、国際的な社会貢献を行った。

今後の研究の推進方策

今後は現地でのフィールドワークや文献調査を実施して、どのような類型論的特徴が核心的な特徴の変化に影響を及ぼすのかについて、周辺地域に位置してチュルク諸語と系統が異なるアルバニア語、ブルガリア語、セルビア語やアゼルバイジャン語やウズベク語との言語接触によるチュルク系少数言語や少数方言を分析することで自動詞的事態把握と他の類型論的特徴の分布の相関を明らかにしていく。加えて、チュルク語の周辺部でみられる関係節化、格表示、文法的一致やイントネーションのパターンなどの共時的特徴の相関が歴史的資料のなかでどのように実現されているのかを明らかにすることにより、新たな類型論的普遍性の提示に繋げたい。

次年度使用額が生じた理由

関連書籍費の請求が当初の予定より遅れて、少額であるが次年度にずれ込んだ可能性がある。次年度に速やかに処理を実施する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 「トルコ語にみられる主題について」2024

    • 著者名/発表者名
      栗林裕
    • 雑誌名

      『チュルク語文法の諸相2:情報構造・知識管理』

      巻: 2 ページ: 111-126

    • DOI

      10.15026/0002000302

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 「トルコ語の限定性再考 -決定木分析による試論-」2024

    • 著者名/発表者名
      栗林裕
    • 学会等名
      2023年度ユーラシア言語研究コンソーシアム年次総会 「ユーラシア言語研究 最新の報告」
  • [学会発表] Turkce ve Japoncada kisa dil ifadeleri ve kultur.2023

    • 著者名/発表者名
      Kuribayashi, Yuu
    • 学会等名
      The Research and Implementation Center for Cultural Communication Studies, Cukurova University
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Contrastive analysis of ol/bol- expression in Turkic languages.2023

    • 著者名/発表者名
      Kuribayashi, Yuu
    • 学会等名
      23rd International Conference on Turkish Linguistics.
    • 国際学会
  • [学会発表] 「ナル的表現と言語類型論」2023

    • 著者名/発表者名
      栗林裕
    • 学会等名
      日本認知言語学会第24回全国大会
  • [学会発表] 「トルコ語とチュルク諸語のナル的表現と言語のタイプ」2023

    • 著者名/発表者名
      栗林裕
    • 学会等名
      東アジア日本研究者協議会第7回国際学術大会パネル
    • 国際学会
  • [学会発表] Linguistics Education at Okayama University.2023

    • 著者名/発表者名
      Kuribayashi, Yuu
    • 学会等名
      International round table on the topic Innovative model of training philologists in higher education , dedicated to the 60th anniversary of Doctor of Pedagogical Sciences.
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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