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2023 年度 実施状況報告書

多様な言語資料による九州諸方言における母音融合の生産性に関する実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K00529
研究機関北星学園大学

研究代表者

松浦 年男  北星学園大学, 文学部, 教授 (80526690)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワード母音融合 / 方言 / 言語データベース / アクセント
研究実績の概要

今年度はデータベースの作成を中心に行った。母音融合に関しては,データソースとして刊行済の方言関係の書籍を用いて入力した。長崎県長崎市,佐賀県北方町(現在は武雄市のため,北方地区と呼ぶ)のデータの入力ができた。その結果,長崎市の資料では母音融合はほとんど見られなかった一方,北方地区では少ないながらも見られた。先行研究ではどちらの地区でも比較的広範囲の用例で観察されていたので,この違いが通時的な変化なのか,資料の性質なのかなどを検討する必要がある。この成果に基づく研究発表が国際学会に採択されたので24年度に発表を行う予定である。
この他に母音融合に限らずデータベースを用いた音声研究を行うことで,方法論上の課題を洗い出し,本研究の課題を効率的に遂行する上での基礎を築いた。具体的には2つある。1つは過去に収集した語彙データに対してアノテーションを施し定量的な分析を行った。具体的には,約100語の単語について発話,注記,分節音,音調,話題の情報を付与した。そして,音調の時間情報とfo値を分析したところ,文に埋め込んだ発話ではピークの音調が後ろにずれて実現することが分かった。また,fo値の幅も広くなっていた。本研究ではこれをanticipatory raisingと関連付けることにより分析できる可能性を示唆した。今年度作成したデータベースは語彙が限られるため,量を拡張することで音声学一般に対する貢献も期待できる。もう1つは平山輝男(1951)『九州方言音調の研究』所収の九州音調分布図をデジタル化してオンラインで公開した。これまで同書のデータはデジタル化されておらず,各地点の音調は目視により確認するしかなかった。デジタル化により検索可能な形になったことで,多くの研究者が効率的な研究を行えるようになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

データの質・量の面で課題があり,母音融合をテーマとした研究発表を行うことができなかった。一方,データベースの作成やそれを用いた研究の進め方に関する知見を深めることはできた。現在,データベースの拡張をおこなっており,それにより研究成果を世に出すことができると思われる。

今後の研究の推進方策

まず,引き続き刊行済の書籍類を用いたデータベースの拡張を行っていく。次に,母音融合の生起条件について従来のデータでは分からない部分があるため,現地調査によりデータを補完していく。そして,学会等において口頭発表をし,フィードバックを得ることで,研究をさらに進展させていく。

次年度使用額が生じた理由

計画していた国際学会での発表を行うことができなかった。24年度に実施される国際学会での発表が決まっているので,そちらで執行する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 長崎方言における特殊モーラの自立性:定量的分析2024

    • 著者名/発表者名
      松浦年男
    • 学会等名
      第19回音韻論フェスタ
  • [備考] 平山輝男(1951)九州音調分布図(デジタル化)

    • URL

      https://yearman.github.io/map/hirayamap.html

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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