研究課題/領域番号 |
23K00537
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研究機関 | 甲南女子大学 |
研究代表者 |
中田 葉月 甲南女子大学, 人間科学部, 准教授 (70963320)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | CLIL / Decodable Books / Focus on Form |
研究実績の概要 |
本研究では、「CLIL授業における、ICTを活用した児童のスピーキング力向上のための指導モデルの開発」を目的としている。特に、児童のスピーキング力向上のために、①CLIL (Content and Language Integrated Learning:内容言語統合型学習)の枠組みを使用し、②タブレット端末での、英語表現の文字を実際に入れ替えることで文構造に気づくことができる教材、およびその文字を読むための③既習の「読みのルール」を用いて『自分の力』で読めるDecodable Booksの開発を行い、小学校外国語の指導モデルを開発することを目指している。 2020年度から小学校における外国語が教科化され、既習表現の定着が求めらSmall Talk等に取り組むことになっているが、そのためにはインプットの量が不足していると考えられる。そこで、児童の発達段階に応じた学習内容を活用できるCLIL授業を用い、児童の学習意欲を持続させる中で、さらに文構造に気づかせるインプット教材を開発する。 文構造に気づかせる教材は、まとまったストーリを聞きながら、ターゲットセンテンスを並べ替えるものである。それらは児童の興味のある内容かつ、学習した音と文字の関係や音韻認識を用いて読むことができる Decodable Booksとしての機能も合わせたものである。 これらを活用することにより、「聞くこと」「読むこと」を基礎とする英語を話す手立てを獲得でき、児童の負担を軽減させ、スピーキング力の推進を図ることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CLILおよびDecodable Booksについて、英語を母語としない国であるオーストリアでの調査研究を行った。調査先はウィーン大学およびウィーン市内の公立・私立小中高等学校である。それぞれの校種でのCLIL授業の見学においては、社会科や算数科、理科などの授業を見学し、担当する教員への聞き取りを行うことができた。また、Decodable Booksについても、担当教員やウィーン市教育委員会指導主事への聞き取りを行うこともできた。また、ヨーロッパのCLIL研究者との意見交換を行うことができた。さらに日本におけるCLIL授業についても、小中学校において調査研究を行うことができた。これらの調査結果をまとめ、執筆や発表を進めていく予定である。 また調査内容を元にした、CLIL授業を研究協力校において実施することができた。授業は算数科の内容を用いて、5・6年生約90名に実施した。現在は授業後のアンケートの分析を行っている。その内容については学会で発表する。 さらに、そのCLILの授業内容と関連した文構造への気づきを促すICT教材と、Decodable Booksの作成を行うことができた。加えてそれらの内容について、小学校教員への研修を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
海外における調査研究の計画の順番が逆になってしまったが、2024年度は英語を母語とする国・ニュージーランドにおいてDecodable Booksの調査研究を行う予定である。これらの調査結果とオーストリアの調査結果をまとめ、英語を母語としない日本において有効なDecodable Booksを作成する。 CLIL授業については、特にSTEAM教育との関連の授業を開発し、その内容が児童にどのような効果をもたらしているかを検討する。 また合わせてCLIL授業を作成し、その授業の内容とリンクした文構造への気づきのためのデジタル教材とDecodable Booksの作成を行い、小学校においてそれらを実践し、取り組みの改善への手立てとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はDecodable Booksの調査や事例を収集し、内容および本文の作成は完了したが、使用するイラストの依頼が年度末にまたがり、使用することができなかった。前年度未使用額をイラスト作成に使用する予定である。
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