• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

日本語における格体制の交替現象の歴史的変化に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K00541
研究機関埼玉大学

研究代表者

川野 靖子  埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (00364159)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2028-03-31
キーワード格体制 / 交替現象 / 動詞 / 意味役割
研究実績の概要

日本語には、「グラスに水が満ちる」「グラスが水で満ちる」のような格体制の交替現象が見られる。この現象については従来、筆者自身の研究も含めて、現代語を対象に多くの研究がなされてきたが、通時的な観点からの研究はほとんどなされていない。現代語において「満ちる」をはじめとする一部の動詞は格体制の交替を起こすが、では、過去の日本語においてはどうだったのだろうか。仮に、かつては交替を起こさなかった動詞が途中から交替を起こす動詞に変化したのだとしたら、それはいつ頃、どのように変化したのであり、その変化の背景には何があったのだろうか。これらの問題を明らかにするための基礎的研究として、本研究では、個々の動詞の上代~近現代における使用状況の調査・分析を行う。
本年度は、自動詞「満つ(満ちる)」と他動詞「満つ(満たす)」を調査した。筆者のこれまでの調査により、少なくとも中世までは、基本的に位置変化用法の用例(現代語でいう「グラスに水が満ちる」のような用例)しか見られないことが分かったため、明治・大正期に焦点を当て、雑誌を資料として調査を行った。その結果、明治・大正期の当該資料には状態変化用法の用例(現代語でいう「グラスが水で満ちる」や「彼は自信に満ちている」のような用例)がまとまった数見られること、状態変化用法の文型に現代語とほぼ同様のバリエーションが見られること、文型間の意味的な使い分けも現代語の状況とほぼ重なること等が明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

近世と明治・大正期の調査を行う予定だったが、明治・大正期の用例の調査と分析に時間を要し、近世については調査を十分に進めることができなかった。よって「やや遅れている」と判断した。

今後の研究の推進方策

本年度の調査により、自動詞「満つ(満ちる)」と他動詞「満つ(満たす)」における状態変化用法の獲得時期は、近世~明治初期に絞られることが明らかになったため、この時期の資料を増やして調査・分析を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

明治・大正期の用例の調査と分析に時間を要し、近世の調査を十分に進めることができなかったため、未使用額が生じた。次年度において、近世~明治初期の調査資料及び関連文献の購入に使用する予定である。

備考

[研究発表] 川野靖子(2024)「「満ちる」「満たす」における状態変化用法の獲得に関する研究構想」第20回現代日本語文法研究会、2024年3月27日、オンライン。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 明治・大正期の雑誌を資料とした「満ちる」「満たす」の 格体制の調査 ―構成物を表す「~ヲ以テ」「~ニテ・~デ」「~ニ」の分布の異なり―2024

    • 著者名/発表者名
      川野靖子
    • 雑誌名

      埼玉大学紀要(教養学部)

      巻: 59-2 ページ: 43-57

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi