研究課題/領域番号 |
23K00544
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
白勢 彩子 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00391988)
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研究分担者 |
北村 達也 甲南大学, 知能情報学部, 教授 (60293594)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 日本語 / 発音 / 母音 / 児童 / 共通語 / 方言 / 超音波計測 / 動画撮影 |
研究実績の概要 |
発声の調音器官はごく小さなもので,調音運動のわずかな差が大きな差異をもたらしている。音の種類によって調音運動にどの程度の相違があるのかは,定量的にはほぼ議論されていない。申請者らはこれまで,母音生成時の調音運動に着眼して,日本語共通語の話者を対象に,磁気式の三次元運動計測システムを用いて運動を直接に観察し,長母音で口腔がより開大することを定量的に示し,生成過程をモデル化して捉えた。本課題では長母音の発音について,非侵襲的な観察手法により調音運動を記録・計測し,調音運動の相違が共通語とは異なる言語体系の話者にも観察されるのか,発達の過程でどう成立するのかを問いとして,児童にも適用可能な観察手法により調音運動を記録・計測し二次元・三次元的な調音運動モデルを構築して,実像を明らかにする研究を推進する。調音運動モデルを,言語に共通する普遍的な部分と個別的な部分とを切り分けて議論することを試みる。 具体的には,長母音の発音に焦点を当て,共通語の成人話者に見られた短母音との調音運動の相違が,A.共通語とは異なる言語リズムの方言話者にも観察されるのか,B.発達の過程でどのように形成されるのか,を問いとして,児童にも用いることのできる非侵襲的な観察手法によって調音運動を記録・計測し,二次元・三次元的な調音運動モデルを構築し実像を明らかにする研究を推進して新たな調音運動モデルを議論する。本年度は,小学校1から6年の児童を対象とした発話生成実験を実施した。併せて,比較のための成人話者に対しても同様の実験を行った。実験には,計測機器としてGE社の超音波診断装置を用い,リース会社より借用して進めた。計測に適したプローブと児童用のヘッドセットが必要であったため,購入した。超音波による撮像に加え,口唇の運動を正面から動画撮影して記録することも併せて実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
話者の手配,機材の調整が円滑に運営できたことにより,計画の通りに進行できている。また,児童話者および実験支援者の手配が順調であったことから,2年目に収集する予定の資料を1年目に蓄積することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2年目にあたる2024年度に関西方言地域,3年目にあたる2025年度にシラビーム方言地域と,方言地域を年度に分けて資料を収集する計画であったが,的確な技能を有する実験支援者を育成できたことから,できるだけ2024年度中に両地域とも資料を集積して,研究の進展を図りたい。必要に応じて,前倒し支払いを請求するなども活用していく予定である。 COVID-19 の影響をを考慮して遠隔での資料収集を予定していたが,対面での実験の実施が可能となっていることから遠隔による手段にはよらず進行していく。
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