研究課題/領域番号 |
23K00581
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
瀧田 健介 同志社大学, 文学部, 教授 (50632387)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 統語論 / ラベル付け / 省略現象 / 線状化 / 生成文法 |
研究実績の概要 |
2023年度は、省略現象に課される同一性条件について研究を行った。特に、日本語の節レベルの省略現象であるスルーシングと節を対象にした項省略において、時制・定性・法の不一致が可能であるという新しい観察を行い、それに対する分析を提案した。 分析の内容としては、通常補文標識Cは時制辞句TPをその補部にとるが、省略においてCの補部が発音されなくなる場合にはTPではなくより小さな構成素であるvPを補部にとることができ、それによって上述の不一致が可能になると主張した。このような、省略下においてのみ許される選択関係は、本研究課題の中心的な仮説である「ラベル付けに基づく線状化仮説」のもとでは自然に説明できるため、この仮説の妥当性を示す大きな成果と位置付けることができる。 この成果は、2023年9月に津田塾大学(オンラインも併用)で行われた国際研究会であるCurrent Issues in Comparative Syntax 2: Boundaries of Ellipsis Mismatch、2024年1月に南山大学言語学研究センター(オンラインも併用)で行われた研究会であるComparative Syntax, Semantics and Language Acquisition #2において招待発表として、また2024年3月に香港中文大学で行われた国際学会であるGLOW in Asia XIVにおいて口頭発表として公表し、その学会論文集および国際専門誌への投稿論文を準備中である。 また、九州大学の前田雅子氏、東北大学の中村太一氏と共同で、日本語スルーシングにおける残余句の文法格に関する不一致に関する研究、および並行して「ものか」を伴う修辞疑問文の統語的特徴に関する研究を行った。これらの研究成果については、その成果を国際学会の発表に応募中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は2件の研究会での招待発表(うち1件は国際研究会)および1件の国際学会での口頭発表を行い、それらの成果を論文としてまとめる準備をすすめることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
ひきつづき国内外の研究会・学会における発表を行い、参加者からのコメントとフィードバックをもらうことで研究をさらに発展させることを目指す。またその成果を論文として出版する準備を進める。
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