研究課題/領域番号 |
23K00601
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
安 龍洙 茨城大学, 全学教育機構, 教授 (80361286)
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研究分担者 |
松田 勇一 宇都宮共和大学, シティライフ学部, 教授 (50406279)
石鍋 浩 東大阪大学短期大学部, その他部局等, 教授 (90424051)
アンドレエフ アントン 東洋大学, 国際教育センター, 講師 (90875915)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 多文化共生社会 / 異文化相互理解 / 日本人 / 外国人 / PAC分析 / 質的研究 |
研究実績の概要 |
研究初年度の2023年度は、本研究のテーマである日本社会における外国人と日本人の多文化共生意識について解明するために、1) COVID-19パンデミック後の留学生による日本留学観、2)留学生と日本人学生の多文化共生社会に対する意識の比較、3)ベトナム人留学生は日本社会における異文化観について、それぞれPAC分析による質的分析を行い、論文を発表した。1) COVID-19パンデミック後の留学生による日本留学観では、①COVID-19パンデミックの影響を示唆するクラスターの形成は認められないため、来日後の学習や生活を通した経験がクラスターの形成に影響を与えると考えられること、②テキストマイニングの対応分析の結果、留学生の留学観や対日観などは、COVID-19パンデミックの影響より日本における実際の体験のほうが主な要因となっていると考えられたことが示された。2)留学生と日本人学生の多文化共生社会に対する意識では、①留学生と日本人学生は多文化共生社会をどのように認識しているのかについて、①留学生、日本人学生とも自文化の枠から他の文化への評価軸を形成する傾向が認められたこと、②日本人学生においては、交流後の意識変容のきざしが認められたのに対し、留学生において意識変容のきざしは認められなかったことがわかった。また、①②の結果から、大学等で開講している多文化共生のクラスにおいて、評価軸の視点移動を促すような学習活動を展開する必要性が示唆された。3)ベトナム人留学生の日本社会における異文化観では、①プラスのイメージとしては「自然や街が美しい」「給料が高い」、マイナスのイメージとしては「物価が高い」、「冬が寒い」が複数の被調査者に見られたこと、②日本の習慣の違い、日本人との交流の中で困っていること、難しいと感じていることが示された。また、異文化適応の困難さとしては、「日本語と人間関係」、「単調な生活と寂しさ」が複数の被調査者に見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1年目の2023年度は、研究論文3編を発表した。1) COVID-19パンデミック後の留学生による日本留学観、2)留学生と日本人学生の多文化共生社会に対する意識の比較、3)ベトナム人留学生の異文化観についてそれぞれPAC分析による調査を行い、本科研のテーマである「外国人と日本人の多文化共生意識」について検討しいくつか興味深い知見を得ることできた。そのため、概ね順調に進んでいると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は「外国人と日本人の多文化共生意識」を解明するために、1)短期語学研修に参加した日本人学生のコロナの状況下及びその前後の異文化観の変容、2)交換留学生の留学前、留学中、留学後の留学観の変容、3)韓国人・ベトナム人・台湾人の日本社会における多文化共生意識、4)日本長期滞在韓国人の異文化観の変容について、それぞれ調査・分析し論文発表を行う予定である。また、日本人と外国人の多文化共生意識に関する質問紙調査も並行して実施・分析し、「外国人と日本人の多文化共生意識」について多角的に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は、代表者の研究機関及びオンライン調査によるデータ収集を行ったため、当初計画していた旅費の支出が少なかった。 2023年度の未使用額は国内外の対面による調査のための旅費及び、これまで蓄積したデータの文字起こしの費用に充てる予定である。
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