研究課題
本研究は、(1)文献調査による理念、政策提言、運営制度や組織、実態に関する政府や民間の統計的な資料も含め最新の文献を収集して分析 する、(2)欧州の移民受入における言語教育面での関係者や専門家から助言を得る、(3)移民統合のための言語教育現場の調査から、現状に見られる成果と課題を分析し、知見を得ることで国内の日本語教育政策の拡充のための基礎資料を得ることを計画している。初年度は、(1)日英独仏語の文献収集を進めている。(2)ドイツで移民の就労のためのドイツ語教育の専門家(M.モネッティ氏 FRA)、市民大学2校の移民統合コースの責任者(F.フィシェス氏 ラーベンスブルク; M.クラインヴェーゲン氏 ミュールハイム)へのインタビューと市民大学では授業見学等も行い、教員や移民の方々とも話ができた。また、JFケルン日本文化会館において、ドイツの移民統合政策についての情報交換会(7月12日)を行った。さらに本研究の研究協力者として、二宮恵一・C.シュミット氏(ザールラント大学)には、別途情報提供と意見交換を行うことができた。フランスにおいては、ストラスブールで(7月と12月に)、専門家(アンドレア・ヤング教授、ユリヤ・プッツェ教授)へのインタビューを行うことができた。2023年12月にストラスブール大学で、招待講演の機会を与えられた。その後、グラーツのECML(ヨーロッパ現代語センター)での国際会議(4年に一度の成果報告会)に出席する機会を得て、情報収集した上で、欧州評議会の担当者他、複数の専門家とネットワーキングができた。文化庁文化審議会国語分科会日本語教育小委員会の臨時委員として、本科研ならびに、この前身の科研基盤(C)(本年度まで)の情報・知見を元に、「日本語教育の参照枠」へのCEFR-CVの取り組みに関するワーキンググループでの議論に参加することができた。
1: 当初の計画以上に進展している
上述したように、ドイツ、フランス、加えてオーストリアにおいて、専門家と話す機会を複数回持つことができて、情報や助言を得ることができた。これは計画よりも進んでいる。特にグラーツのECMLでの国際会議に参加できたことは大きかった。また、CEFRとCEFR-CVとヨーロッパの言語教育と日本国内の日本語教育について複数の学術書への原稿を執筆したので、順次発刊される予定である。
本年度収集できた情報や資料を元に、ヨーロッパの移民言語教育政策についての論考を深め、発信していく予定である。調査については、(1)文献調査で、まだ不十分な点もある上に、新しいものもフォローする必要がある。(2)国際情勢が許せば、イタリアとフランスの現地調査と、ドイツでの追加調査をできれば行いたいと計画を立てている。本研究の(1)文献調査の方は、着実に進めていきたいと考えている。(3)2023年にケルン日本文化会館で行った情報交換会のフォローアップとして、発表者に情報の更新と、共同で発信できればと考えている。また、その他の現地の専門家の助言や意見を含む論考を発信したいと考えている。
旅費と物品費が、予定していたよりも安価で済んだため。また当初予定していた人件費(データ整理等)を、使用しなかったため。次年度は、国際情勢が渡航に支障がなければ再度ヨーロッパへの旅費と、データ整理の補助のための人件費を使用するつもりである。
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AJALT
巻: 47 ページ: 20-24
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究
巻: 特別号 ページ: 1-30
日本語教育
巻: 185 ページ: 30-45
ドイツ語教育
巻: 27 ページ: 4-24