研究課題/領域番号 |
23K00762
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研究機関 | 大阪成蹊大学 |
研究代表者 |
伊藤 由紀子 大阪成蹊大学, 経営学部, 准教授 (20804826)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | CLIL / 日本の伝統文化・伝統工芸 / 文字指導 / 教員研修プログラム / 教材開発 / 海外の学校 / 文化の発信 / 教科横断型 |
研究実績の概要 |
本研究のテーマは、日本の伝統文化を外国に発信する力の育成を重視したCLIL授業を実践することおよび教員研修プログラムを構築することである。研究の目的は以下のとおりである。 ① 小・中学校において、各教科を連携しながら日本の伝統文化を扱うCLIL授業を行い、英語力とともに児童生徒の自国の文化に対する意識を高めること。② 日本について学ぶコースを持つ外国の学校と連携し、児童生徒が伝統文化や伝統工芸を外国に発信する取組みを行い、発信とともに外国の文化にも触れる相互学習を目指すこと。③ 現場の教員研修プログラムを構築し、往還型でCLIL指導についてのサポートを行い、自信を持って英語指導に臨める教員養成に貢献すること。④ 研究成果を学会で発表するとともに全国の教員が活用できるようにHP等で公開・配信すること。 また、本研究の学術的独自性と創造性は以下の3点である。①外国の学校と連携して児童生徒が伝統文化や伝統工芸を外国に発信する取り組みを行い、外国の文化にも触れる相互学習は、取組み事例がほとんどない。新型コロナ禍でオンライン環境が整ったことで、公立の小・中学校でもそれが可能となった。②英語科は他のどの教科とも連携できるという特長がある。これまで、グローバル教育とCLILとをベースに、公立小・中学校で実践されてこなかった日本の伝統文化の継承と発展を目指す体験型の授業を継続してきており、本研究ではそれを発展させる。③英語教育改革に不安を感じる教員に、新しい形の授業を提案することは重要で意義があると考える。CLIL指導は教科書に取り入れられているが、内容と言語を同時に指導することは容易ではなく、丁寧な研修が欠かせない。本研究は今後の英語教育改革を見据えた、学術的独自性と創造性を兼ね備えた萌芽的研究である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の進捗状況としては、おおむね順調に進んでいる。2023年度は国内の複数の公立小学校、中学校を訪問し、外国語科の授業見学や作成したICT教材の使用状況の確認等を行った。また、公立中学校において、伝統工芸のCLIL授業を実践することができた。現在は得られたデータを整理しており、その一部について、2024年度に学会発表、論文発表を計画している。 海外との文化交流について、今年度は本科研費の旅費による海外訪問は実施していないが、自身の研究の流れの中で、伝統文化・伝統工芸関連の現地訪問としてスペインのタイル工芸の調査を行うことができた。加えて、国内の伝統工芸に関しては、東北地方、九州、北海道の様々な工芸品を調査し、伝統工芸士に話を聞くことができた。それらを今後の授業実践に活かしていく。 次に、CLILに取り組む教員の研修会に関しては、2023年度に複数回実施、参加することができた。日本CLIL教育学会関西支部の研究会においては運営委員長として企画、開催した。次年度も引き続きCLIL教員へのサポートを継続していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、2年目にあたる2024年度も、授業実践を中心に研究を進めていく。国内の伝統文化・伝統工芸の調査も引き続き継続し、そこで、教室での題材として使えるような伝統工芸品を検討する。そして、これまでの実践と比較して、より準備が手軽かつ効果的な授業づくりを目指していく。 また、授業実践を引き続き行っていくとともに、海外との文化交流も進めていく。8月には、ニュージーランド(ハミルトン、オークランド)の学校を訪問する予定である。今年度はそれに向けて、日本の国公立高等学校の生徒らと、伝統工芸品の紹介プレゼンテーションのDVDの作成プロジェクトを実施している。現在は発表する伝統工芸品の検討、パワーポイントの作成を行っているところである。 また、6月に日本実践英語音声学会の年次大会について、関西支部評議員として勤務する大学で開催するため、運営に関わる予定である。11月には日本CLIL教育学会の全国大会において、イタリアから講師を招聘して講演会を運営する。全国大会は関西で行うことが決定しており、運営委員長として活動する予定である。その他、複数の学会発表、論文発表を行う予定である。 さらに、CLILに取り組む教員の研修会に関して、今年度も引き続きCLIL教員への勉強会の開催および授業・計画におけるサポートを継続していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由だが、物品費については、購入予定であったものが比較的安価であったこと、旅費については、本年度に予定していた計画を2024年度に変更して実施することになったため、次年度使用額が生じた。それらは次年度に使用する計画にしている。
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