研究課題/領域番号 |
23K00771
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研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
佐藤 臨太郎 奈良教育大学, 英語教育講座, 教授 (50509198)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | WTC / 発話の正確性 / 母語の有効使用 |
研究実績の概要 |
学習者のWTC(Willingness to communicate) すなわち「第2言語を使用して主体的に話をしようとする意欲」について、以下の研究を行い、論文として発表することが出来た。①WTCの程度(高低)と発話の正確さ、流暢さ、複雑さとの関連について分析しした結果、正確な発話の場合にWTCが高い傾向にあることが判明した。このことから、学習者に正確な発話を促す指導がWTCを上げるうえで効果的であることが示唆された。②学習者が主に英語で発話している際に言語を母語である日本語に変更する場合がある。これはコードスイッチング、トランスランゲージイングという現象であるが、この場合のWTCの程度について、分析した。その結果、意図的に効果的に日本語を使用している場合はWTCは高く、英語力の不足から日本語を使用せざる得ない場合はWTCが低くなる傾向があることが判明した。効果的に母語を用いながら英語での発話を行うことの有効性が示唆された。③WTCを変動させるよう要因と高いWTCを維持させる要因について違いがあるか分析した。その結果、高いWTCの理由と、高いWTCを引き起こした要因との間に差異が観察された。しかし、低いWTCの場合には違いはなかった。この研究の結果は教室での学生のコミュニケーション意欲を高めるためのより洞察力のある示唆を提供し、最適な言語学習と発達に適した環境を醸成することを目指す教師に貴重な指針を提供した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「第2言語を使用して主体的に話をしようとする意欲」(WTC)について、すでに収集済みのデータを用いて、分析し、3本の論文にまとめ発表することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
対話者が学習者(発話者)に与えるフィードバックと「第2言語を使用して主体的に話をしようとする意欲」(WTC)の変動との関連について分析し、どのようなフィードバックが有効であるかを検討していく。また、発話時の非言語コミュニケーション方略やゼスチャーの有無がWTCの変動に与える影響について、分析、検討していく。授業実践に有益な示唆を与えることが出来ると考えられる。
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