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2023 年度 実施状況報告書

日本近代史学史の再構築―中国史研究の展開過程と在野の学会の活動を焦点に―

研究課題

研究課題/領域番号 23K00799
研究機関専修大学

研究代表者

飯尾 秀幸  専修大学, 文学部, 教授 (10202805)

研究分担者 小嶋 茂稔  東京学芸大学, 教育学部, 教授 (20312720)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワード近代日本の史学史 / 戦前の中国研究 / 戦後歴史学 / 歴史学研究会 / 志田不動麿 / 三島一
研究実績の概要

2023年度は、1920年度の我が国の中国史研究動向に焦点を当て、プロレタリア科学研究所・歴史学研究会・『歴史科学』編集委員会での中国史研究について、検討を行った。これらの研究団体は、構成員の出身校や所属組織等を横断して組織されており、従来の史学史の叙述においてあまり注目されてこなかった存在であったからである。特に、戦前、若手歴史研究者によって組織された歴史学研究会には、三島一・志田不動麿など、当時新進の中国史研究者が参画し、その機関誌『歴史学研究』にはマルクス主義歴史学の方法論に基づく中国史の論考も多く掲載されていたが、それらの論考や三島や志田らの著作の検討を一定程度進めることができた。
その一方で、本研究が対象とする時期の歴史学界の動向を直接目にした世代からの聞き取り調査を行った。戦後歴史学の潮流の中で中国古代史研究を進め、民主主義科学者協会歴史部会の継続組織ともみなしうる歴史科学協議会の代表委員を1990年代に務めた太田幸男東京学芸大学名誉教授から聞き取り調査を行うことが出来た。太田氏の聞き取り調査の内容は、2024年度中に『歴史評論』誌に掲載される予定である。
ただ戦後結成された国民的歴史学運動についての検討を進めるべく、その重要な担い手であった研究者からの聞き取り調査に着手したが、すでに相当のご高齢であり、御家族との協議を経て残念ながらその方からの聞き取りは断念することとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

戦前期のマルクス歴史学陣営における中国史研究のあり方については、一定程度の資料収集を進めてきたが、想定したようには資料が集まっていない。収集した資料が現状での限界なのかどうか見極める必要が残されている。

今後の研究の推進方策

2024年度は、引き続き、プロレタリア科学研究所、歴史学研究会、『歴史科学』で展開された中国史研究の状況の検討を進める。特に、歴史学研究会の活動を担った人々と、『歴史科学』の活動を担った人々との交流の有無や、中国の歴史や同時代の中国認識の差違等について検討を進めていく。なかでも『歴史科学』を主要な研究発表の場として独自の中国史認識を提示した秋沢修二についても基礎的な資料収集や作品の分析を行っていくこととしたい。
また、2025年度以降の研究を見据え、中村哲が提唱した小経営生産様式論について、1970年前後の我が国のアジア的生産様式論争との関係性も意識しつつ検討を行うほか、1950年代の国民的歴史学運動を担った民主主義科学者協会歴史部会の動向についての準備的な資料収集・分析も進めていくこととしたい。

次年度使用額が生じた理由

2023年度に予定していた、国民的歴史学運動の重要な担い手であった研究者からの聞き取り調査の準備に着手したが、その方がすでにご高齢であり、御家族との協議を経て残念ながら聞き取りは断念することとなったため、当初予定していた旅費・謝金などの支出を実行できなかったため。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 『嶽麓書院藏秦簡単(参)』訳注(七)2023

    • 著者名/発表者名
      飯尾秀幸・多田麻希子・福島大我・椎名一雄・山元貴尚
    • 雑誌名

      専修史学

      巻: 75 ページ: 35-104

    • 査読あり
  • [図書] 「戦前歴史学」のアリーナ 歴史家たちの1930年代2023

    • 著者名/発表者名
      加藤陽子、井上文則、小嶋茂稔ほか計13名
    • 総ページ数
      231
    • 出版者
      東京大学出版会
  • [図書] 中国学の近代的展開と日中交渉2023

    • 著者名/発表者名
      陶徳民・吾妻重二・永田知之・小嶋茂稔ほか計23名
    • 総ページ数
      329
    • 出版者
      勉誠社
  • [図書] 東京学芸大学150年の歩み 1873-20232023

    • 著者名/発表者名
      川手圭一・日高智彦・小嶋茂稔ほか計7名
    • 総ページ数
      262
    • 出版者
      学文社

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公開日: 2024-12-25  

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