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2023 年度 実施状況報告書

徳川将軍家京位牌所の特質と「家」の位相に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K00808
研究機関筑波大学

研究代表者

山澤 学  筑波大学, 人文社会系, 准教授 (60361292)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード日本社会 / 家 / 徳川将軍家 / 先祖祭祀 / 京位牌所 / 養源院 / 母系先祖
研究実績の概要

本研究は、江戸時代を通じて徳川将軍家の京における位牌所とされた寺院、とくに天台宗に賊した養源院の特質を、関連史料の博捜、検討によって考察し、そこでの先祖祭祀に現れる徳川将軍における「家」の位相とその変遷を解明することを目的とする。
本年度は、養源院における徳川将軍家先祖祭祀の特質とその変遷の解明に資する武家・公家・寺家・職人史料の所在情報を確認しつつ、それら史料の閲覧、収集を開始し、これまでの日本近世史研究において等閑視されてきた徳川将軍家の京位牌所に関する基礎的な考察に努めた。諸般の事情から現地調査の実施に支障が生じたものの、オンラインの史料画像データベースを活用することにより、従来は顧みられることのなかった史料・記事を確認することができ、本研究全体の展望にもつながりうる基礎的な考察を進めることができた。
具体的には、徳川将軍家の先祖祭祀における「家」の位相およびその変遷上、重要な問題として、3代将軍家光期に特徴的なその外祖父浅井長政を「将軍様御先祖」に位置づけて養源院に祀った営為に注目し、また、それに先行する豊臣家における京東山大仏における霊場の形成も視野におきつつ解明した。徳川将軍における母系先祖の「家」における位置づけについては、これまでほとんど注目されることはなかったが、日本社会における「家」の位相の変遷をうかがう上でも重要な論点になりうるものと考えられる。今後、家光期以降の情況の把握とそれとの比較も含め、さらなる検討に努めたい。
なお、養源院から本研究に対する格段のご理解を賜り、その紹介により、現時点での研究成果の一部を京都における市民向けの公開講座において報告する機会をいただくことができ、質疑等を通じ京都・関西在住の研究者と情報を交換することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

諸般の事情、とくに個人的な事情(療養)により、当初に予定していた東京・京都等への出張をともなう史料調査を延期せざるを得なくなった。この点において、研究の進捗状況はけっして芳しいものとは言えない。
とはいえ、近年充実しているオンラインの各種史料画像データベースを活用することにより、データの収集としては予想していた以上に前進させることができた。また、それらに基づき徳川将軍家の母系先祖祭祀という観点を深める考察に注力することができ、結果として本研究課題の今後の遂行に向けて展望することができたのは幸運であった。
したがって、初頭に予定していた課題を本研究の最終年度までに達成することは可能と考えている。次年度はさらなる進捗を図りたい。

今後の研究の推進方策

令和6年度は、5年度に引き続き、史料収集と養源院の存在形態の解明をさらに進めていくことを予定している。
進捗が遅れ気味の史料収集に関しては、令和6年度には、前年度に進めたオンライン各種史料画像データベースによる閲覧・収集作業を引き続き行い、また、6年度後半から7年度前半にかけ、当初から予定した東京・京都等における史料調査を実施したい。
また、史料の収集・整理のさいに大学院学生1名に協力いただき、その短期雇用を準備している。これによって本研究課題の完遂に向けての作業の効率化を図りたい。

次年度使用額が生じた理由

令和5年度には、個人的理由(療養)のため、東京・京都等への史料調査がほとんど実施できず、また、それに関連する物品の購入も一部見送らざるを得なかった。熟慮した結果、体調の回復状況を見極めつつ、今後安全に実施できるさいの研究経費とするべく助成金の一部使用を留保した次第である。延期した史料調査は、来る6年度および課題最終年度にあたる7年度に、主治医の助言も受けながら確実に実施するべく調整中であり、調査実施時に残額をすべて使用することを計画している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 養源院と「将軍様御先祖」浅井長政2023

    • 著者名/発表者名
      山澤学
    • 学会等名
      京都女子大学生活デザイン研究所公開講座
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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