研究課題/領域番号 |
23K00880
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
今松 泰 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特任准教授 (80598938)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | イスラーム / 聖者 / 聖者信仰 / 聖者廟 / 参詣 / 伝承 / サル・サルトゥク / バルカン |
研究実績の概要 |
本年度、交付申請書記載の研究計画に従い、(A)関係する文献の収集と分析を行い、(B)バルカン半島の各地で調査を行った。 8月から9月にかけて、ルーマニアのババダグ、ボスニア・ヘルツェゴヴィナのブラガイ、コソヴォのペーヤ(セルビア語:ペーチ)、アルバニアのクールヤ、北マケドニアのオフリドに存在するサル・サルトゥクの墓廟および関連施設を調査し、文献を収集した。さらにババダグ、およびボスニア・ヘルツェゴヴィナのトラヴニク、カチュニ、ヴケリチにおいて、サル・サルトゥク以外の聖者廟、スーフィー教団施設、宗教行事の調査を行った。またギリシアのテッサロニキ、トルコのイスタンブルにおいて、関連文献を調査・収集した。 2月から3月にかけて、ドイツのベルリン、フランスのパリにおいて、関連文献を閲覧・収集した。ベルリンではアレヴィーの施設を訪れ調査を行った。 帰国後、収集した文献の整理を行い、分析に取り掛かった。1月26日には京都大学人文科学研究所「アジアにおける宗教諸文化の越境波及と「地域」創造」研究班において、「バルカンにおけるサル・サルトゥク廟」と題する発表を行った。 バルカンでの墓廟および関連施設調査の結果、現時点において、以下のことが確認された。(1)史資料における記述には見られない、独自の伝承を有する場合があること。(2)各地でサル・サルトゥク崇敬と参詣のあり方に以下①から④の如く違いが見られること。(①多くの人が存在を知らず、ほぼ参詣現象が見られない墓廟、②近年整備されたものの、ほぼ参詣現象が観察されない墓廟、③多くの人に知られているが、特定の集団によってのみ参詣される墓廟、④サル・サルトゥクの痕跡が見られない宗教施設)(3)(2)と関連して、人々がサル・サルトゥクをどのように認識しているかについては、歴史的経緯、社会状況によって、各々違いが存在すること。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した本年度の計画を実施できたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に従い、ブルガリアおよびトルコ各地での調査とともに、さらなる史資料の調査・収集を行う。同時に、収集した文献の分析を継続する。 さらに本年度の調査を加えた上で、研究作業をまとめて、学会、研究会などで口頭発表を行い、研究を進展させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
史資料収集のための代金が想定以上に嵩んだため、旅費の一部に別経費を当てた。次年度使用額が生じた理由は以上である。
旅費および史資料収集のための物品費に使用する。
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