研究課題/領域番号 |
23K00922
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研究機関 | 京都芸術大学 |
研究代表者 |
宇佐美 智之 京都芸術大学, 芸術学部, 講師 (60838192)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ソグド / オアシス / 都市遺跡 / ミングテパ / シルクロード / GISデータベース |
研究実績の概要 |
本研究課題は,初期中世期のソグド(現ウズベキスタン・サマルカンドを中心とする地域)を中心として,(1) 都市遺跡のGISデータベース化,(2) 都市遺跡の発掘調査,(3) 都市遺跡の構造分析・比較,(4) 出土資料の整理・分析,という4つの作業を推進し,オアシス国家の構造的特質について考察を深めることを目指すものである。 2023年度は上記(1),(2)を中心に進めることとし,(3),(4)については2024年度の本格実施に向けて準備作業(資料収集など)を行った。 上記(1)の作業については,対象地域の遺跡情報を広く集成(従来の作業の継続)するとともに,高精細衛星画像・軍事偵察衛星画像(CORONA等)を用いて遺跡の規模・内容等について検討を加え,GISデータベースに格納した。なお,この作業で作成したGISデータベースについては本研究課題の最終年度にWEBでの一般公開をおこなう予定である。 上記(2)の作業ではサマルカンド・ジョンボイ地区に所在するミングテパ遺跡(シャフリスタン区)で発掘調査を実施した。この遺跡については従来の議論から「曹国」ないし「カブダン」の中心地に比定されてきた学術的経緯があるが一方で考古学的にはほとんど未解明である。2023年度はシャフリスタン区(トレンチ3・4)を集中的に調査し,年代の推定において鍵となる貨幣や動物骨などを含む多くの資料を得た。各種資料の整理・分析は現在進行中であるが,ミングテパ遺跡の性格を掴むための有力な情報が得られたものと評価できる。 なお,上記(3),(4)の各作業については,日本国内での博物館等での資料調査を複数回実施した。関連情報や資料状況等について把握し,2024年度に向けた準備を進めることに努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に実施した各作業を個別にみると必ずしも十分な進捗が得られなかった部分もあるが,特に上記したミングテパ遺跡の発掘調査においては期待を上回る成果も得られた。このことから,総合的にみて「おおむね順調に進展している」と判断したい。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り,本研究で取り組む主な作業は,(1) 都市遺跡のデータベース化,(2) 都市遺跡の発掘,(3) 都市遺跡の構造分析・比較,(4) 出土資料の分析,という4点である。 このうち(1),(2)の作業については2023年度の作業を継続・発展させる。特に(2)では,ミングテパ遺跡・シャフリスタン区の調査範囲を拡張するとともに,その他の区域でも試掘調査を実施し,遺跡全体をより具体的に把握することに努める。 また,(3),(4)においては現地研究機関や博物館等での調査を通して資料の実見や分析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は本務都合により現地調査の実施が困難であり旅費の執行ができなかった。2024年度は現地での調査活動等を行うため未執行分を旅費(複数回)として計上する。
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