研究課題/領域番号 |
23K00986
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
内山 琴絵 信州大学, 教育学部, 特任助教 (40898300)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 災害に対する脆弱性 / レジリエンス / 自然災害 / 復旧・復興 / 立地 / 地域防災 / コミュニティ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,災害に対する脆弱性の高い空間の形成プロセスについて,地理学的視点から解明することである。そのために,災害の種類,被災状況,復興過程が異なる地域において災害発生直後から復興過程にみられる問題について,現地調査や文献調査を通じて明らかにする。さらに,災害対応・復旧復興をめぐる個人と社会の相互作用に着目し,長期的視点からの分析を試みる。これによって,多層な時空間スケールをもとにした災害に対する脆弱性の分析枠組みを提示することを目指す。 令和5年度は,主に長野県における水害および地震を対象として,現地調査を進めてきた。ミクロスケールで分析するために,主にコミュニティスケールの地域を対象とし,水害と地震の被災地域において,それぞれ住民,事業者,学校,行政担当者等に対してインタビュー調査を実施した。インタビューでは,災害のフェーズごとに時系列に沿った質問を行い,特に復興まちづくり事業等の実施コミュニティにおいては,行政担当者およびコミュニティ・リーダー等から具体的内容および合意形成プロセスの概要,ステークホルダーの関係などについて整理した。 また,被災前後の土地利用や住民の人口構造の変化と関連付けた考察を行うために,空中写真判読および現地調査を行い,宅地および農地に着目した被災前後の土地利用変化に関する地図化を進めてきた。さらに,災害に対する脆弱性を空間的に把握するための指標化に関する国内外の研究動向を整理し,本研究の理論的位置づけを図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,異なる被災地域間の被災~復興過程の実態およびその課題について,現地調査等によって詳細に把握することを通して,災害に対する脆弱性の形成プロセスを空間的に分析するものである。令和5年度は長野県を中心に現地調査および文献調査を進めることが出来たため,本研究課題の進捗状況はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後もミクロスケールの現地調査を通して,災害発生前~発生直後~復旧~復興に至るまでのフェーズで被災地域の変化や課題について分析する。また,そうした時間経過に伴う現実社会の変化を引き起こすと考えられる個人,集団,ローカルな行政,中央政府などの個人と社会の動きや対応について詳細に明らかにし,その相互作用について分析を試みる。そのために,引き続き現地調査を進めていき,多様な被災地域における被災前後の土地利用状況について,宅地・農地に着目した変化を空間的に把握する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画で見込んだよりも旅費が抑えられたため,次年度使用額が生じた。次年度使用額は令和6年度請求額と合わせて,現地調査旅費および得られた成果の学会発表,論文発表に使用する計画である。
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