研究課題/領域番号 |
23K01038
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
國弘 暁子 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (20434392)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 宗教 / ジェンダー / セクシュアリティ / 家族 / 現世放棄 |
研究実績の概要 |
本研究では、男女の婚姻を要請するカトリック教義に従いながらも、己の婚姻を否定して修行に徹する修道院の女性たちのパラドックスな存在意義について考察する作業を通じて、カトリック教義での現世放棄と家族の観念、そして同性婚を異端視する背景を明らかにすることを目的とする。フランス第二の都市リヨンを調査の拠点として、修道院での聖務に参与する調査を実施し、男女の性愛を要請するカトリックの教義と同姓婚の法制化との間に対立関係を生じさせる根本的な要因を顕在化させる。最終的に今日的なフランス家族のあり方、さらには、親族研究のあり方についての考察を行い、より良いジェンダー、及び、セクシュアリティ理解に向けて、人類学的研究の成果を開示することを目指している。 2023年度の研究活動としては、フランスの婚姻制度に関する研究やジェンダー、セクシュアリティ全般に関する論文を収集するなどの文献調査をメインとして行った。それと同時並行でフランスでの現地調査も計画していたが、国際航空運賃の高騰と急激なユーロ高により当初予定を変更せざるを得ず、ヨーロッパ国際学会での発表時期に併せて、短期間のフランス滞在調査を実施した。 調査協力を依頼しているカトリック修道者は、「仔羊のコミュニティ」のフランスのリヨン支部に所属する8名のリトルシスターたちである。そのシスターたちからの招待により、コミュニティ総本部に相当する南フランスの村に4日間滞在することが許された。早朝から夕刻まで、リトルシスターたちの日中の労働に関与し、会食の時間や空き時間での対談を通じて、リトスシスターたちの任務のみならず、生き方や価値観についての学びを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国際航空運賃の高騰と円安ユーロ高の影響により、フランス渡航・滞在を希望通りにすることができず、調査計画に影響が出ている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度、そして、次年度以降も、「仔羊のコミュニティ」の総本部の村に滞在する計画である。南フランスの総本部村には、年に一度、7月から8月にかけての約2ヶ月間、フランス国内外で活動するリトルシスター、およびリトルブラザーが集結するため、そこで多くのコミュニティ成員と知り合い、私の調査内容を直接共有することができる。実際に、2023年7月に総本部村を訪れた時には、リヨン支部の8名以外のリトルシスターと対話する機会を多く持つことができた。その大きな理由は、活動地域を異にする成員が混じり合うようにグループ分けがなされ、各グループごとに独立したコテージで寝食を共にするよう図られていることにある。活動地域を異にする成員同士が互いに語り合える場が設定されているのである。リヨン支部8名のリトルシスターたちも皆バラバラに異なるコテージに配置され、私は、8名のうち一人のシスターと同じコテージの一室を与えられた。そこで初めて顔を合わせたシスターたちと多くの時間を共有し、当然ながら、滞在の理由、調査の理由を一から説明することを要求された。次回滞在する際も、おそらく、顔も名前も知らない成員が揃うコテージに入れられ、私自身の滞在目的について再度一から説明することが求められるだろうが、そのような機会を通じて多くの成員たちと関心事を共有することは重要と考えている。 それと同時に、フランスのリヨン支部での活動にも参与する。フランスのリヨン支部では、木曜日の聖書音読の学び、土曜日の聖体礼拝、土曜礼拝後の会食が毎週行われており、また、不定期であるが、土曜日の夜11時から翌朝2時にかけての徹夜祭も行われる。それら行事に参与することを通じて、シスターたちの勤めの意義を、チャペルに集う一般参加者も交えて考えてみたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた物品の購入を次年度以降でも問題ないこと、また、渡航費を最小限に抑えたことが理由である。
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