研究課題/領域番号 |
23K01088
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
長谷部 恭男 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (80126143)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 君主制原理 / 支配の正当性 / 主権 |
研究実績の概要 |
2023年度は、君主制原理に関するいくつかの思想家の議論を検討し、研究成果としてまとめる作業を行った。第一に、立憲君主制国家をすべての個人の自由と平等とを確保する人類の歴史と到達点だと考えたヘーゲルの歴史哲学および法哲学の内容をまとめ、それを含めた論集として『歴史と理性と憲法と』(勁草書房)として刊行した。 第二に、ドイツ第二帝政における君主制と議会政治との対抗関係を分析したマックス・ウェーバーの議論を検討し、近代以降の社会を多元的価値の闘争の場としてとらえた上で価値判断の客観性を否定した独特の思想を背景として、議会制民主主義における政党とそのリーダーシップのあり方を官僚機構化した組織政党とカリスマ的リーダーシップの関係としてとらえた彼の国家観を「マックス・ウェーバー国家論序説」として論説にまとめた。 第三に、伊藤博文の欧州憲法調査の過程で、明治憲法の起草に大きな影響を与えたローレンツ・フォン・シュタインの議論を検討し、フランス革命を契機として成立した近代議会制が産業社会における格差の拡大を背景として福祉国家(社会国家)へと変貌して行く過程を正確に予見した彼の議論を前提とすると、君主制原理はどのような政治体制として理解されるべきかを検討した。この検討の成果は、近いうちに論説の形でまとめることを予定している。 なおこのほか、絶対主義の理論家とされるジャン・ボダンの主権論を検討した論説をまとめつつあり、近いうちに公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
君主制原理が近代から現代へ時代が進む中でどのように変容したか、その結果として、国家機関としての君主をいただきながらも君主制原理をとらないイギリス、ベルギー、現代の日本と、どの程度の理論的・実際的差異を生ずるものかを検討することが、本研究の主題の一つであったが、ボダン、ヘーゲル、マックス・ウェーバー、ローレンツ・フォン・シュタイン等の理論を検討した上で、その成果をすでに公表したか、あるいは近いうちに公表を予定するまでに至っており、概ね順調に研究は進展していると言うことができる。
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今後の研究の推進方策 |
今日にいたるまで、君主制原理の生成の経緯とその理論的含意を検討し、ついで君主制原理が各国でどのように展開してきたか、また、さまざまな思想家が君主制原理をいかにとらえてきたかを検討してきた。今後もこのような作業を継続するとともに、研究の成果を邦文のみならず英文でもまとめて公表し、海外の研究者との学術交流を進展させていくことができればと考えている。
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