研究課題/領域番号 |
23K01089
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
遠藤 美奈 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (40319786)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 関係性 / 憲法 / 学校教育 / 校則 / 市民性 / 生活困窮者自立支援法 / 相談支援 / 対等者からなる社会 |
研究実績の概要 |
本年度は本研究の開始年として、文献研究を中心に理論的基盤の形成を試みた。 本年度はまず、学校教育全般と、校則のありようを、子どもや教員、教育行政など各主体の関係性に着目しつつ法的視点から分析し、さまざまに働く権力関係の意味付けとその制御可能性について考察するとともに、教育の場における「創造的な相互作用」のための自律の能力と市民性の涵養、個人の尊厳、労働と民主主義のありようなどの関連について検討した。次に、貧困研究者のルース・リスター教授の理論から示唆を得て、生活困窮者自立支援法に基づく相談支援を素材に、人を「人として遇すること」の構成要素とその憲法との結びつきについて考察し、さらに必ずしも組織化されていない市民による困窮者支援は何によって支えられるのかを模索した。そして、本研究の基盤を固めるべく、関係的アプローチを提示した法・政治理論家のジェニファー・ネデルスキー教授と最低限度の生活水準への権利の基礎づけ、立憲主義、ソーシャル・ワーク、市民の行動主義について意見交換を行い、多くの示唆を得た。 本課題の成果として、校則を「排除」されないルールとして位置付けようとする論稿を公刊するとともに、憲法から見た学校教育について講演を行った。また、来日したルース・リスター教授とのワークショップに参加し、人が「人として扱われる」ことをめぐる憲法論に同教授の理論が与える示唆について報告を行った。ネデルスキー教授とのやりとりはこの先の研究の基礎をなすものとして活かされてゆくであろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題でカバーされる範囲のうち、学校教育及び困窮者支援に関わる講演・論稿執筆の機会が得られ、考察を深めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度も引き続き文献研究および研究会報告を通じて考察を深めたい。とくに欧州人権条約及び自由権規約の関係条項に関わる解釈実践について重点的に研究し、日本国憲法の解釈論との接合についてより深い理解を得たい。
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