研究課題
本研究は、国際労働機関(ILO)が策定した中核的労働基準に焦点をあてつつ、国、使用者を含む企業、労働組合がその実現にどのような役割を果たしうるかを検討するものである。2023年度は、当初の研究計画に則って、国内における課題についての整理・検討を把握する作業を実施した。上記の3つの主体との関係では、主に国や使用者を含む企業という2つの主体についての検討を行ったこととなる。まず、国内における課題の整理に先立ち、日本政府による取組み状況を把握するため、日本の国別行動計画の内容や、関係する政府の関係会議における議事要旨等を参照することにより、国別行動計画に基づく取組みがどのように進められているかについて検討を行った。また、中核的労働基準と日本の国内法との齟齬について、批准済みの中核的労働基準については国外から、未批准の中核的労働基準については政府から、どのような規定や慣行について齟齬が生じていると認識されているかについて、整理を行った。「ビジネスと人権」の文脈においては、子会社等の労働者に対する親会社の法的責任についても、問題となる。これとの関係で、やや古典的な論点とはなるが、組合活動を嫌悪してなされた子会社の解散に伴い、子会社から解雇された労働者が親会社に対していかなる場合に雇用責任を負うか(これは、子会社労働者の団結権が侵害される場合ともいえ、その意味でも本研究課題とも関連が深いといえる)について、改めて議論を整理した。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画に沿って、2023年度に行う予定の作業を進めることができたため。
当初の研究計画に則り、2024年度は国内法上の課題についての整理検討を進めるが、アメリカにおける議論状況や立法動向の把握についても、検討を開始する。
概ね予定どおりに執行できたが、端数が生じたため。2024年度経費に合算して使用する。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (6件) 学会発表 (1件)
労働問題リサーチセンター『ポストコロナの働き方・労働市場と労働法政策の課題』
巻: 1 ページ: 121-139
法律時報
巻: 1192 ページ: 62-67
季刊労働者の権利
巻: 351 ページ: 97-107
荒木尚志・岩村正彦・村中孝史・山川隆一編『注釈労働基準法・労働契約法 第2巻――労働基準法(2)・労働契約法』
巻: 1 ページ: 355-373、383-407
『実務に活かせる=判例再考』判例時報社デジタルライブラリー「サブスク ロー・ジャーナル」
巻: 1 ページ: 1-11
季刊労働法
巻: 284 ページ: 191-200