研究課題/領域番号 |
23K01196
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
鶴田 滋 大阪公立大学, 大学院法学研究科, 教授 (90412569)
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研究分担者 |
池邊 摩依 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 准教授 (90846875)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 訴訟指揮 / 裁量 |
研究実績の概要 |
2024年度においては、主に次の研究を行った。 第一に、研究代表者と研究分担者の間で、研究課題の認識を深めるため、概ね月に1回程度ズームによるオンライン研究会を開催した。2024年度は、主に、憲法学において議論されている、法治国家原理、裁判官の法創造とその正当化根拠、司法権の民主的正統性に関する日本の文献を精読した。その後、民事訴訟法における証拠調べ手続に関する文献を精読し、証拠調べ手続における手続原則と憲法上の諸原則(とりわけ法的審問請求権)との関係や、証拠調べ手続における裁判官の裁量規律について、現在における研究状況を把握した。 第二に、主に研究分担者が、民事司法のあり方や裁判官の訴訟指揮における裁量に関する具体的な課題について、研究会にて研究報告を行った。具体的には、2023年7月に「法定審理期間訴訟手続は、何を求め、何を犠牲にしたのか――簡易迅速性とトレードオフの関係にある価値の考察」と題する報告を大阪公立大学民事訴訟法民事訴訟法研究会において行い、同年10月に「控訴の利益と直接主義」と題する報告を福岡民事訴訟判例研究会にて行い、さらに、同年12月に「Joachim Muench, Die Privatisierung der Ziviljustiz ; eine etwas andere SWTO- Analyse der Rechtsdurchsetzung (民事司法の民営化――権利実現のSWTO分析)」という海外文献紹介を民事手続研究会(九州)にて行った。最後の報告については、2024年7月に仲裁ADR法学会の学会誌に公表される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
月1回開催の研究会を通じて、本研究課題に関わる文献を精読し、研究に必要な基礎知識を得つつあること、および、とりわけ研究分担者が、本研究課題に関わるテーマに関する具体的な問題を研究し、研究会にて報告し、公表のための準備を進めているため。
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今後の研究の推進方策 |
2025年度も、2024年度に引き続き、概ね月1回開催の研究会を行うことを通じて、民事裁判官の訴訟指揮の法的規律のあり方を検討するために、裁判官が法に拘束されることの根拠と限界という基礎的な問題の検討を行い、これを踏まえて、裁判官の訴訟指揮における法的規律、とりわけ裁量の規律方法について、日独の文献を参照しながら、検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が、2023年度も勤務校において法学研究科長を務めていたことから、本研究課題について十分な研究時間を割くことができなかったため。未使用分は、前年度に購入できなかった図書の購入や、多忙のために参加できなかった遠方での研究会や学会の参加のための旅費にあてる予定である。
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