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2024 年度 実施状況報告書

新時代における多文化主義理論の再構成:市場・共通文化・歴史解釈への政策を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 23K01225
研究機関北海道大学

研究代表者

辻 康夫  北海道大学, 法学研究科, 教授 (20197685)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード多文化主義
研究実績の概要

民族的・人種的マイノリティの公平な統合を目指す〈平等主義型・多文化主義〉の理論は、今日、新自由主義、主流派文化擁護論、急進的マイノリティ運動のビジョンの挑戦を受け、その弱点を指摘されている。本研究では、正義・平等・民主主義などの諸価値を基礎にしつつ、これらの論争で示された洞察やニーズに応答しつつ、〈平等主義型・多文化主義〉の理論の再構成を行うことを目指している。2年目の2024年度は、構造的不正義論と、歴史的不正義論をとりあげ、現実の政策論争や政策実践に即しながら、これらを多文化主義の理論と接続する作業をおこなった。具体的には、主として北米およびオセアニア地域の先住民問題や人種問題をとりあげ、近年の議論の焦点になっているカラー・ブラインド・レイシズム、構造的不正義、過去の修復における正義と和解の問題を取り上げ、通常は別々に議論されることの多いこれらの理論を連関させることで、適切な政策実践を基礎づけることが可能になるとの見通しを得た。この作業の過程で日本政治学会研究大会および、アメリカ開催のAmerican Anthropological Associationおよび、Association of Asian Studiesの年次研究大会、国立台湾大学の国際ワークショップでそれぞれ研究報告を行い、意見交換を行い、諸国の議論状況にもとづく有益な知見を得ることができた。また、2023年度に引き続いて、文献の収集を行うとともに、海外の政策展開についての情報収集をおこなった 。

現在までの達成度
現在までの達成度

2: おおむね順調に進展している

理由

2024年度は、構造的不正義論と、歴史的不正義論をとりあげ、現実の政策論争や政策実践に即しながら、これらを多文化主義の理論と接続する作業をおこない、カラー・ブラインド・レイシズム、構造的不正義、過去の修復の理論を連関させることで、多文化主義政策を基礎づけられる見通しを得ることができた。また国内外の研究者との意見交換のために、国内の学会ひとつと、3つの国際学会・ワークショップに参加し、ほぼ目的を達成することができた。

今後の研究の推進方策

2025年度は、2023年度および2024年度に得た知見を踏まえて、理論的な取りまとめと、これをふまえた、新時代の多文化主義政策の方向の提示を行う。とくに従来からの多文化主義の基礎理論を前提に、近年の新自由主義の政治文化と社会の両極化への対応を、構造的不正義論、歴史的不正義論、カラーブラインド・レイシズム論を軸に整理し、ガバナンス、文化政策、公的歴史解釈をめぐる政策の方向を提示することをめざす。この過程で、国内外の研究者との研究交流も継続し、7月に開催される国際政治学会IPSAの研究大会において、研究報告を行い意見交換を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初想定していた国際学会のうちのひとつで、研究報告を行なえなかったため、参加費用を使用せず使用額が減少した。2025年度は、これに代わる国際学会(国際政治学会)での研究報告を予定しており、このための参加費用などに充てる予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2025 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件)

  • [雑誌論文] カラー・ブラインド時代のマイノリティ政策(1): 構造的不正義と歴史的不正義を中心に2025

    • 著者名/発表者名
      辻康夫
    • 雑誌名

      北大法学論集

      巻: 75(5-6) ページ: 59-85

    • オープンアクセス
  • [学会発表] Examining Japan’s Policy Toward Indigenous Peoples2025

    • 著者名/発表者名
      Yasuo Tsuji
    • 学会等名
      Association for Asian Studies, Annual conference
    • 国際学会
  • [学会発表] 「先住民族」概念が開示するポジショナリティ2025

    • 著者名/発表者名
      辻康夫
    • 学会等名
      公開シンポジウム「『ポジショナリティ』の視点からみる沖縄と日本」(沖縄国際大学)
  • [学会発表] Why should we base research on indigenous communities?2025

    • 著者名/発表者名
      Yasuo Tsuji
    • 学会等名
      International Workshop on ‘Indigeneity and Archaeology’, (Department of Anthropology, National Taiwan University)
    • 国際学会
  • [学会発表] The Issue of Human Remains in Japan's Current Indigenous Policy2024

    • 著者名/発表者名
      Yasuo Tsuji
    • 学会等名
      American Anthropological Association, Annual Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] 先住民遺骨問題をめぐる政治理論的考察:多文化主義の理論構築の一環として2024

    • 著者名/発表者名
      辻康夫
    • 学会等名
      日本政治学会研究大会

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公開日: 2025-12-26  

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