研究課題/領域番号 |
23K01230
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
中北 浩爾 中央大学, 法学部, 教授 (30272412)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 自民党 / 立憲民主党 / 政党組織 |
研究実績の概要 |
2023年度の主な実績は、試論的なものとして論文「変化する日本の政党組織―スキャロウの「多段階メンバーシップ政党」論を手掛かりに」を執筆し、『立教法学』第110号(2023年)に掲載されたことである。 この論文は、「政党衰退」論に対して全面的に批判するスーザン・スキャロウ教授の「多段階メンバーシップ」論を紹介した上で、権利の拡張や義務の軽減によって既存の党員組織を維持しつつ、インターネットも駆使した党員組織の多段階化が日本について進んでいるのか、自由民主党と立憲民主党の二大政党を取り上げ、インタビューやデータ分析を交えて論じたものである。自民党は多段階メンバーシップ政党を指向せず、立憲民主党など民主党系諸政党はその方向を目指しながらも政党組織自体が空洞化してしまっている、というのが結論である。 今年度はそれ以外にも、欧米の研究動向の把握に努めるとともに、自民党や立憲民主党に関してインタビューやデータの収集を重ねた。また、2022年に出版した『日本共産党―「革命」を夢見た100年』(中公新書)に立脚しつつ、日本共産党についてもその政党組織の変化の把握に努めている。日本共産党については、党員数や機関紙購読者数の減少にみられる党勢の衰退が顕著であり、その実態を捉える一方、ヨーロッパで主流になっている急進左派の民主的社会主義政党の現状についても情報収集を行った。 以上の全般にわたって、たんなる研究にとどまらず、メディアの取材に応じるなど、広く社会に知見を還元することにも努力している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書には2023年度の研究計画の目標として「2023年度は、欧米の研究動向の把握に努めるとともに、応募者が最もよく知る自民党に関して、機関紙誌の収集、政治家や党本部職員へのインタビューなどを行う」と書いたが、それがおおむね達成されているからである。
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今後の研究の推進方策 |
申請書には2024年度の研究目標として「2024年度は、その他の日本の政党についての調査を始める一方、欧米の研究で触れられていた事例を深く理解するために、当該政党を訪問してインタビューを行う」と書かれている。すでに日本の政党の調査は広く進めているが、欧米の事例について現地調査を行うべく努めたい。 また、2025年度の研究目標として「2025年度は、上記の作業を続けるとともに、類型などの分析枠組みを含む試論的な論文を執筆し、査読付き雑誌に投稿する」と書かれているが、すでに試論的な論文の一端は発表している。さらに自前の枠組みを構築すべく、試論的な論文の執筆を目指したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
中央大学に赴任した直後であったため新任分として学内研究費が通常よりも多くあり、それによって人件費や物件費を賄うことができたこと、また、論文の執筆に力点を置き、欧米の図書の購入による既存の研究の整理などの作業が後回しになったことが、次年度使用額が生じた主な理由である。 今年度は、比較政治・政治理論関係図書および現代日本政治関係図書の購入を一層進めるとともに、研究上不可欠なパソコンの購入を行うことによって、次年度使用額については有効に使用していく予定である。
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