研究課題/領域番号 |
23K01253
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中島 琢磨 九州大学, 法学研究院, 教授 (20380660)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 日本外交史 / 非核三原則 / 核兵器の持ち込み問題 / 平和国家 / 日米安保体制 |
研究実績の概要 |
(1)非核三原則が政策となった社会的背景を明らかにする作業の一環として、戦後思潮に着目し、1945年9月4日の帝国議会開院式で昭和天皇の勅語(「平和國家ヲ確立シテ人類ノ文化ニ寄與セムコトヲ冀ヒ」)が発されたのちの諸アクターの認識と主張を考察した。和田春樹氏、古関彰一氏、福永文夫氏などの先行研究の成果を整理し、諸アクターの「平和国家」論や戦争放棄論を検討した。本年度は昭和天皇、幣原喜重郎、矢内原忠雄らの考えについて調べたが、引き続き次年度も継続する必要がある。 (2)1960年代に米軍が沖縄に配備・貯蔵していた核兵器の問題に関する外務省の検討内容を考察した。東郷文彦北米局長の1967年1月の沖縄出張から8月の佐藤栄作首相との打ち合わせまでの行動と、施政権返還後の沖縄の基地の態様について東郷が起案した文書の検討を行った。これらの検討から、核兵器の持ち込み問題に関する東郷の認識と主張に変化が生じていたことが分かり、この点については来年度以降、活字論文のなかでまとめる予定である。 (3)日本側の安保改定交渉記録に残っていないアメリカ側の電報記録を検討した。1959年5月から6月にかけて行われた藤山愛一郎外相・山田久就外務次官とマッカーサー駐日大使との協議内容を考察し、毎日新聞社の「灰色の領域」取材班が残した藤山、山田、東郷などの口述記録と比較考量した。また安保改定交渉に詳しい専門家との定期的な意見交換・フィードバックの機会を得た。関係資料について次年度も検討する予定である。
上記の作業の一部について、2023年5月20日の楠田實資料研究会、同年11月22日の亜州大学・九州大学共同学術セミナー(「急変する東アジア秩序と日韓関係の未来」)、および2024年2月29日の法政大学現代法研究所研究会(「1960年代後半から1970年代にかけてのアメリカのアジア戦略と東アジアの国際関係」)にて、研究発表ないし経過報告を行う機会を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・先行研究の整理が一定程度進み、また「平和国家」論や戦争放棄論といった戦後思潮を形成する論議についての理解が進んだことによる。
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今後の研究の推進方策 |
・新たに存在が分かったアメリカ側公文書の内容を正確に理解したうえで、現在利用可能な日本側公文書や各アクターの口述記録などとの照合作業を時間をかけて行う必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
・本年度予定していた大型資料の購入を、研究の進捗状況を踏まえて、次年度に変更したことによる。
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