研究課題/領域番号 |
23K01262
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
犬塚 元 法政大学, 法学部, 教授 (30313224)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 引用分析 |
研究実績の概要 |
2023年度は、主として、研究計画書に示した分析作業1「引用文献・典拠文献の書誌情報の確定」にかかる作業に従事した。すなわち、『イングランド史』に典拠として記された文献のそれぞれについて逐一、EEBO(Early English Books Online)やECCO(The Eighteenth Century Collections Online)等のテキストデータベースを主たるツールにして、だれの、どの本の、何年のどの版を指しているのか、形式および内容において指示は適切かどうか、という点を確定する作業を進めた。 その作業のなかでは、(1)『イングランド史』におけるヒュームは、典拠資料をそのまま転記する(ないしは要約やパラフレーズする)という叙述方法を多用していること、(2)言及がなにより多いのは、ジョン・ラッシュワース編の『歴史コレクション』、『庶民院日誌』、『議会国制史』のような、基本史料集とも呼んでよいタイプのテクストであること、などが判明した。 この研究課題は、引用文献・典拠文献を分析の手がかりとする思想史分析を試みており、これにかかる方法論・メタ方法論の検討もおこなっている。23年度は、「引用・典拠分析」にもとづいて思想の系譜を析出するというそうした分析手法を利活用した発展的な分析として、「政治学史研究における一九五五年体制」、「思想史家としてのジョン・ロールズ──政治哲学者による政治思想史をどう受けとめるか?」という、福田歓一、ジョン・ロールズをめぐる2つの成果を公刊することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒューム『イングランド史』のステュアート巻の前半については、「引用文献・典拠文献の書誌情報の確定」にかかる作業をほぼ完了した。24年度は、ステュアート巻の後半についても、継続して同様の作業を続けていく。
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今後の研究の推進方策 |
「引用文献・典拠文献の書誌情報の確定」という分析作業1が完了したのちには、順次、引用・典拠データの定量的分析に移行し、まずは、巻やテーマごとに、引用・典拠の頻度、「引用年齢」(当該巻と被引用資料の刊行年の差)、叙述年代と引用資料刊行年の時間差などの傾向に違いはあるか等を分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症のために、図書館等の施設利用について一部制約が残っており、当初の研究予定を一部修正したため。当初の予定を24年度以降に繰り延べる。
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