研究課題/領域番号 |
23K01353
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
森脇 祥太 大阪公立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (00349200)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 固定効果モデル / 二段階最小二乗法 / 内生性を仮定した回帰モデル / 天保一揆 |
研究実績の概要 |
「長州藩農業発展の計量分析」についての今年度の研究成果は、計量分析を中心にしたものとなった。特に長州藩の計量分析に使用するパネル分析の手法を新たにマスターして戦前期の大阪市金属・機械工業に適用した研究を国際誌にアクセプトすることが出来た。 我々が今年度主に研究した計量手法は地域や産業属性といった複数の固定効果をコントロールする手法である。我々はこれらの複数の固定効果をコントロールしながら、ターゲット変数の内生性を考慮した二段階最小二乗法についても研究した。更に当初からターゲット変数の内生性を仮定してパラメータ推定を行う計量手法についても研究して二段階最小二乗法による推定パラメータとの比較を行った。我々は戦前期の大阪市の金属・機械工業を対象にターゲット変数を外注・下請け所得比率としてパネル分析を行い、外注・下請けの深化が総生産の拡大に与えた影響を確認した。 今年度研究、使用方法を習得したパネル推定手法は、今後の長州藩農業発展の計量分析に関する研究を進める上で大きな意味を持つ。一つには、現時点で単年度クロスセクション・データしか使用できない研究のターゲット変数のパラメータ推定を行うために二段階最小二乗法を適用した際に、その有効性を比較可能とする手法をマスターしたことである。その手法を使用した論文が国際誌にアクセプトされたことは大きな意味を持っており、よりレベルの高い国際誌へ投稿するきっかけとなったと考えている。 また計量分析手法のみならず、長州藩農業発展の契機となった天保の改革についての多くの歴史分析を行った先行研究を読みこなし、「天保一揆」と農業発展の関係を考えることが出来るようになったことも今年度の収穫である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長州藩農業発展の計量分析で使用可能なパネル分析に関する研究を進めて、経済史系国際誌への掲載が決まった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はデータ整備を進めて、二段階最小二乗法を用いた推定を行いたい。さらに内生性を仮定した回帰分析によって二段階最小二乗法の推定結果のチェックを行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
計量分析手法の研究と成果発表に注力しており、山口県での出張や学会発表を行うことが出来なかった。
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