研究課題/領域番号 |
23K01376
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
佐藤 美里 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (70794585)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | サプライチェーン / 排他的関係 |
研究実績の概要 |
サプライヤーとメーカーが排他的な関係を構築する場合は現実に散見される。また,どのような市場環境においてメーカーとサプライヤーが排他的なサプライチェーンの形成を選択するかという学術的な問への答えとなるような経済分析はこれまでにも多く行われてきた。ただ,それらの分析の多くは,市場に存在するサプライヤー2社のうち1社に限定して排他的なサプライチェーンを形成するという状況を捉えたものであった。しかし現実には,多くのサプライヤーから1社ではなく複数社を残して排他的な関係を継続する場合も多い。この研究は,そのような状況を捉えるものである。 この研究の事前準備として,サプライヤー数が3社でメーカーが1社であるという単純な設定での分析を完了させた。サプライヤーは同質財を生産している対称的クールノー競争を行うものとして理論分析を試みたところ,1社とのみ取引をする排他条件付取引契約は不可能であるが,取引相手を2社に限定する取引契約の締結は可能であることが明らかになっている。この分析を整理したのち,より一般的に応用可能なモデル設定として,メーカー1社が,元々N社いるサプライヤーからM社のみと契約し,排他的な関係を構築する状況が実現するかどうかの考察を進めている。サプライヤー同士が同質財を生産している対称的なクールノー競争を行う市場において理論研究を行っていることろであり(ただし,N>M>0),均衡解の導出まで終了している。また,最適な排他的取引相手数についても考察できないか検討しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
より一般的な状況に応用可能なモデルを設定することに試行錯誤し,時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度により一般的に応用可能なモデル設定への展開を検討しはじめており,その設定において排他的な関係を構築する状況を分析していく。また,このようなより一般的に応用可能な設定のもとで,排他的な関係が成立する場合に,何社と取引契約をすることが最適であるのかという問いについても検討していきたいと考えている。メーカー1社がN社いるサプライヤーの中から何社に絞って排他的な取引契約を結ぶことが最適となるのか,排他条件付取引契約の理論分析枠組みを用いて分析を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の遂行において,より一般的な状況に応用可能なモデルを設定することに試行錯誤している。そのことにより,研究計画時よりも少し研究の遂行が遅れており,次年度使用額が発生している。
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