研究課題/領域番号 |
23K01399
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
青木 周平 信州大学, 学術研究院社会科学系, 教授 (00584070)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 大分岐 / 高度成長 |
研究実績の概要 |
本研究の目的の1つは、ポメランツの仮説を農業財部門と工業財部門からなる閉鎖経済の2部門成長モデルに定式化し、「どのような経済学的なメカニズムにより『大分岐』が起きたのか」という学術的「問い」への答えを定量的に提示することにある。もう1つは、「大分岐」の後、当初は停滞グループに所属していた日本、韓国、台湾、香港、シンガポール(及び近年の中国)は、20世紀後半に高度成長し、成長グループにいる欧米諸国にキャッチ・アップしたが、この現象を説明する理論を構築することである。 1つ目の目的のために、2023年度は、本研究の一部となる、大分岐の原因を説明する関する1作目の論文を完成させるべく作業した。特に、論文のイントロダクション部分を大きく改稿した。以前のバージョンでは、単にモデルの設定が羅列的に説明されているだけであったが、改稿バージョンでは、本研究の申請書に記載したものと同様に、Matsuyama (1993)の先行研究との違いを明確にし、新たに追加した設定がなぜ必要なのかを丁寧に説明するように大幅な改稿を行った。現在は、英文学術誌への投稿に向けた作業を行っている。 2つ目の目的のため、戦前から戦後にかけての賃金の上昇に関するデータを調べた。具体的には、『長期経済統計』を完成させた一橋大学の研究グループが、1960年代から70年代にかけて、戦前から戦後にかけての賃金データの測定を行ってきた。これらに関する文献を調査し、整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおりの進捗といえる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の一部となる、大分岐の原因を説明する関する1作目の論文については、英文学術誌に採択されることを目指して、投稿作業を行っていきたい。高度成長の分析については、引き続き、戦前から戦後にかけてのデータの収集を行い、ファクトファインディングを行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
(次年度使用額が生じた理由) ・当初、2023年度に数値計算用のPCを購入する予定だった。しかし、当該年度には大幅な性能の向上があったCPU等が販売されなかったため、購入を見送った。 (使用計画) ・次年度使用額は2024年度請求額と合わせて設備備品費や消耗品費として使用する予定である。
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