研究課題/領域番号 |
23K01400
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
樹神 昌弘 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (20450512)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 労働者送金 / 開発途上国 |
研究実績の概要 |
開発途上国向けの労働者送金(以下、送金)が受取国の経済構造に与える影響についての実証分析を進めている。開発途上国が受け取る送金の金額は巨額なものになりつつある。コロナ禍の影響により一時的に送金額は少なくなったものの、その後、勢いを取り戻しつつある。こうした巨額の送金が開発途上国経済に与える影響は、多くの研究者の関心を引いている。 初年度については、データの収集と文献レビューを中心とした研究活動を行った。特に、送金データについては、受取国の経済変数との間に内生性が生じ得ることが指摘されている。受取国の経済状況が悪くなると、それを補うように送金が増えることが指摘されており、これは利他的送金と呼ばれている。利他的送金が存在する場合には、送金変数には内生性が存在することになる。対処としては、操作変数法を用いることにより、内生性の問題に対処することが考えられる。送金の操作変数としては、移民者数と移民先の経済変数を組み合わせて作成される変数が利用されてきた。本研究でも同様の操作変数を用いるために、本操作変数の作成作業を行った。送金受取国として150か国超の国々を取り上げ、その国々から150か国超の国々への移民を想定している。そして、それらの移民先の国々の経済変数を移民者数で加重平均することにより操作変数を作成する。これを分析対象年の全ての年に対して行った。これに加えて、その他の変数の収集も行った。 今後の研究は、こうしたデータを用いながら実証分析を行うことである。ただし、上記で作成した操作変数が弱相関変数ではないことを確認しながら作業が必要となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りの進捗状況であり、特に報告すべき点はない。
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今後の研究の推進方策 |
弱相関操作変数の問題などに注意をしながら、計量経済分析を進める。被説明変数については、構造変化変数以外の変数を検討することも重要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は200円であり、誤差の範囲内と考えられる。
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