• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

政府開発援助が日本企業の海外インフラ事業に与えた効果測定に関する実証研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K01416
研究機関関西学院大学

研究代表者

西立野 修平  関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (20734007)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード政策評価
研究実績の概要

2023年度は、研究課題1(形態別ODAの効果測定)に取組んだ。具体的には、ODAが日本企業の海外インフラ事業受注件数に与えた効果を援助形態別(技術協力、無償資金協力、円借款(タイド、アンタイド))に推計することを目的に、被援助国レベルの年次パネルデータを分析した。データは、重化学工業通信社「日本のプラント輸出 50年成約実績集」とOECD「Creditor Reporting System」を用いた。結果変数である被援助国における日本企業の海外インフラ事業受注件数が、カウントデータでかつ多くのゼロを含むことを考慮し、固定効果ポアソン回帰モデルを援用した。分析の結果、1970年から2020年の間に日本が供与したODAによって、日本のインフラ輸出は約1600件増加したことが分かった。これは、同期間のインフラ輸出総数の17%に相当する。本研究では、さらに、ODAのインフラ輸出促進効果は、日本が被援助国に対して贈与と借款の両方を同時に供与した場合に最も大きくなることを明らかにした。本稿では、円借款におけるタイド援助のインフラ輸出促進効果も検証したが、アンタイド円借款との間に有意差は見られなかった。本研究で得られた分析結果は、国際協力機構が技術協力を通じて行っているこうした事前調査支援が、ODAのインフラ輸出促進効果を高める上で有効である可能性を示唆している。2021年の技術協力に占める調査団派遣の割合は拠出額ベースで23%に留まっており、調査団派遣を増加させることが具体的な施策として考え得る。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

リサーチアシスタントを雇用したことにより、データの収集およびデータセットの構築がスムーズに進んだため。

今後の研究の推進方策

次年度は、研究課題2(円借款事業の受注に関する決定要因)に取り組む。具体的には、日本企業による円借款事業の受注に影響を与えた要因を明らかにすることを目的とし、プロビットモデルを用いて、事業レベルの年次プールデータを分析する。今年度の10月~3月中に査読誌への投稿を目指す。

次年度使用額が生じた理由

端数が残ったため、次年度使用額が生じた。次年度は、海外出張旅費やリサーチアシスタントの雇用に予算を使用する計画である。海外出張については、11月にタイのバンコクで開催される19th International Convention of the East Asian Economic Association (EAEA)に参加し、研究報告を行う予定である。リサーチアシスタントについては、データ収集及び分析を担当できる大学院生は約2カ月雇用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Does Official Development Assistance Benefit the Donor Economy? New Evidence from Japanese Overseas Infrastructure Projects2023

    • 著者名/発表者名
      Shuhei Nishitateno
    • 雑誌名

      International Tax and Public Finance

      巻: ‐ ページ: ‐

    • DOI

      10.1007/s10797-023-09788-8

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Heterogeneous effects of Aid‐for‐Trade on donor exports: Why is Japan different?2023

    • 著者名/発表者名
      Shuhei Nishitateno, Hayato Umetani
    • 雑誌名

      Review of International Economics

      巻: 31 ページ: 1117-1145

    • DOI

      10.1111/roie.12656

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi