研究課題/領域番号 |
23K01505
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
岩間 剛城 近畿大学, 経済学部, 准教授 (30534854)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 群小銀行 / 長野県 / 小県郡 / 農村 |
研究実績の概要 |
本研究「銀行制度導入期の日本農村における群小地域銀行の史的研究」は、銀行制度が新たに日本に導入された明治期に、農村地域で多数の群小銀行が設立されて経営を継続しえた要因について、江戸期以来の農村地域における金融組織や人的関係・共同性の状況も踏まえつつ、歴史的・実証的に検討を試みるものである。本研究における中心的な対象地域は、多数の群小銀行が設立された長野県東信地域である。 本研究の初年度に当たる2023年度には、明治期の農村における群小銀行の実態を探るべく、主に長野県東信地域において、上田市公文書館・県立長野図書館などで、複数回の資料調査を行った。明治期の長野県東信地域において設立された群小銀行による経営の状況を探るため、データ収集・確認の作業を積極的に行った。その上で、個々の群小銀行の主要な経営指標である資本金・貸付金・預金額などの数値や、重役・上位株主の属性に関するデータ入力の作業に着手した。一連のデータ収集・確認・入力の作業を通じて、長野県東信地域の小県郡塩尻村において経営をしていた塩尻銀行は、近世期において長期継続的な金融組織であった永続講を前身にして、塩尻村およびその周辺町村の在住者による出資を中心に設立されていた事を、改めて確認した。また長野県東信地域の小県郡においては、農村金融組織を前身にして明治期に小銀行が設立された事例が、塩尻銀行以外にも複数あったという見通しを得る事ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の初年度に当たる2023年度には、明治期日本の農村において設立経営された群小銀行の実態を探るべく、主に長野県東信地域において、複数回の資料調査を行った。一連の調査から得られたデータの入力・検討を通じて、長野県小県郡において、近世期以来の農村金融組織であった永続講・永続舎を前身にして設立された塩尻銀行についての考察を進めた。加えて、長野県小県郡において設立経営された他の群小銀行の一部についても、農村金融組織を前身として設立されていた事を示しうる、見通しを得る事ができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の初年度に当たる2023年度においては、明治期の農村地域において設立された群小銀行の経営の実態を探るべく、主に長野県東信地域において古文書資料調査を行った。調査によって得られたデータの入力作業にも着手した。本研究の2年度に当たる2024年度においても、主に長野県東信地域において、古文書資料調査を継続して行う。合わせて、長野県下において明治期に設立された群小銀行に関するデータの入力作業を継続する。その上で、学会部会や研究会などで、明治期において長野県東信地域で設立経営された群小銀行に関する研究報告の実施を目指して、引き続き検討を進めていく。日本金融史に関連する学会や研究会に参加をして、本研究に関連する新たな知見を得る事も目指す。
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