研究課題/領域番号 |
23K01546
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
東出 浩教 早稲田大学, 商学学術院(経営管理研究科), 教授 (50308243)
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研究分担者 |
姜 理惠 法政大学, デザイン工学部, 教授 (90570052)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | イントラプレナー / 新規事業開発 / 学習する組織 / 組織の起業家的志向 / エンゲージメント / 心理的安全性 / 離職意図 |
研究実績の概要 |
本研究の主たる目的である、企業内起業家であるイントラプレナーの特性と育成プロセスを解明し、「日本型イントラプレナー育成モデル」の提起に向けて、以下のような取り組みを進めてきた。 定量的なアプローチからは、Entrepreneurial Orientation(EO)とLearning organization(LO)を、研究における中心的なコンセプトとして設定し、次年度の質問票調査を目指し文献研究に基づき研究モデルを開発してきた。当該モデルには、先の2件の主要コンセプトに加え、経営外部環境(Environmental DynamismとEnvironmental Hostility)、Organization Structure、Team psychological safety(TPS)、従業員満足度(JS)、職務エンゲージメント(JE)、組織コミットメント(OC)、離職意思(TI)などが含まれる予定となっている。
定性的なアプローチを主軸に置いた研究では、イントラプレナー育成の先行文献に関するSLR (Scpusで54件ヒット)に着手し進めている。成果として、アジア地域のファミリービジネスサミットにて、同族企業の発展を講演した。関連して、日本のファミリービジネスでの企業内起業家育成の現状とこれまでの代表例について言及し、他国参加者と議論を実施した。ここからの成果も活かし、ネットワーク形成や問題意識の再検討、一部インタビューも実施した。 国内では、日本企業2社を研究パートナーとして確保できた。両社とは新規事業開発担当者育成プログラム開発を、実験データの収集を目的に開始した。うち一社ではすでに対象社員の一次データ収集と分析を終えた。現在プログラムの協議に入っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本邦において、伝統的な企業群において、新規事業の育成、また企業内における起業家精神の育成・伝播は喫緊の課題となっている。この状況下、本研究では、「日本企業の繁栄に資するイントラプレナーの特性と育成プロセスはいかなるものか」をリサーチクエスションとし、定量・定性を組み合わせた混合研究法で、日本企業の新規事業開発に資するイントラプレナーの特性とその育成プロセス解明に挑んでいる。 定量的なアプローチからは、Entrepreneurial Orientation(5ディメンジョン;18項目)、経営外部環境(Environmental Dynamism :5項目)、Environmental Hostility Scale:6項目)、内部環境(Organization Structure Scale:7項目)、Learning organization(7ディメンジョン;43項目)、Team psychological safety(7項目)、に従業員満足度、職務エンゲージメント、組織コミットメント、離職意思に関連する20項目を加えた106項目を、これまでのところ選定し、ダブルバック翻訳を開始した。
定性的なアプローチを主軸に置いた研究では、研究パートナーとなる企業を2社確保でき、うち一社では具体的なリサーチを開始できた。イントラブレナー育成のシステマチックレビューは、アントレプレナー育成を対象にした2600本レビューの一部として実施しているため、本数に比して時間を要する。他テーマと対照して議論できるように研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
定量的なアプローチからは、次年度において、民間調査会社を利用し、業界を横断するデータセットの収集と、データの分析を通じて実務家の期待に応えるデータベースの構築を進める予定となっている。具体的には、研究実績の概要・進捗に述べた各種のコンセプトに関し、現時点では106項目の質問群および属性(業種、職種、規模等々)と自由記述1問からなる調査票を使用、業種の割り当てをおこなった上でデータを収集する計画である。 サンプル数は、現段階では1000件-2000件程度を想定しており、分析にはSPSSを使用し、記述統計、相関分析、クラスター分析、主成分分析、一元配置および二元配置の分散分析、重回帰分析が主な解析手法となる予定である。
定性的なアプローチを主軸に置いた研究では、引き続きイントラプレナー育成の先行文献に関するSLR (Scpusで54件ヒット)を進め、レビュー論文を完成させる予定である。国際会議でのレビュー論文ワークショップへの参加も検討している。 日本企業2社と新規事業開発担当者育成プログラム開発を段階的に実施する。一社とは24年度内にプログラムの実施と効果測定を終える予定である。もう一社とは今年度より本格的に研究を開始する。現在リサーチデザインを協議している。
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次年度使用額が生じた理由 |
定量的なアプローチにおいて、Entrepreneurial Orientation(5ディメンジョン;18項目)、経営外部環境(Environmental Dynamism :5項目)、Environmental Hostility Scale:6項目)、内部環境(Organization Structure Scale:7項目)、Learning organization(7ディメンジョン;43項目)、Team psychological safety(7項目)、に従業員満足度、職務エンゲージメント、組織コミットメント、離職意思に関連する20項目を加えた106項目を選定したが、これまでのところダブルバック翻訳に関連する支出が請求されていない。次年度において計上予定。
定性的なアプローチでは、23年度は海外渡航費に学内助成金を使用したため、次年度使用額が生じた。24年度は複数回の国際会議出席や国内での実験などを予定している。
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