研究課題/領域番号 |
23K01564
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
咲川 孝 中央大学, 国際経営学部, 教授 (80272805)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 国の文化 / 組織文化 |
研究実績の概要 |
本年度は、組織文化と国の文化との関わりについて理論化をして、データに基づき、実証しようとした。対象の国は、日本、米国、英国、サウジアラビアであった。さらに、その後、フィンランドをも入れて分析を行った。組織文化は、国、地域ごとに違いがあった。例えば、日本では米国、英国よりも集団主義に根ざしたクランの組織文化がより顕著であった。サウジアラビアでは、他の国よりも、権力の格差の文化に根ざした階層的組織文化がより顕著であった。しかし、予想とは異なり、フィンランドでも他の国以上に、階層的組織文化が顕著であった。また、サウジアラビアもその傾向がった。英国、米国では個人主義に根ざした市場文化が日本以上に顕著であった。 全体として、サウジアラビアが、クランの組織文化を除いて、どの組織文化が、他の国より顕著であった。反対に日本は、クランの組織文化を除いて、どの組織文化に関しても他の国よりも顕著でなかった。これはサウジアラビアの人々が誇張をする傾向、日本の人々が控えめな回答する傾向があるかもしれない。それでもどの国もその国のなかで、どの文化を強調しているかは、一般的な理解と一致していた。つまり、米国、英国のアングロ社会では市場文化をもっとも強調していた。サウジアラビアでは階層文化をもっとも強調していた。どの国もクランを低く評価する傾向があるが、日本は他の国と同じ程度、クランを評価していた。つまり、日本は控えめな回答であっても、クランの文化のみは、他の国と同じ程度、クランの文化を評価していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データを入手できたからである。しかし、分析、また、理論にも時間がさらに必要である。
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今後の研究の推進方策 |
組織文化と国の文化との関連があるということが分かったので、今度はこの関係を利用をしてさらに理論化をしていく。例えば、組織文化を媒介変数として、国の文化と管理慣行との関係、つまり組織文化を媒介してからの国の文化の管理慣行の影響などを分析する。さらに、この含意を明らかにする。例えば、多国籍企業が他の国に進出する場合に、その進出、運営には、組織文化に調和をした社会文化をもった国への進出が重要だと思われる。しかし、そうでない場合には、組織文化を現地の文化に適応されることが必要かもしれない。しかし、時間はかかわるが、新しい工場を買収をして、つまりグリーンフィールド投資をすることによって、ゼロから組織文化を構築することが、多国籍企業の運営では必要かもしれない。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度以降、海外調査が多くなるので、そのためにできる限り多くの費用を発生しないようにしたから。
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