研究課題/領域番号 |
23K01581
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
犬塚 篤 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (30377436)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 使えない上司 / 概念化 / フォロワーシップ / abusive supervision |
研究実績の概要 |
初年度である23年度は,「使えない上司」の概念化と評価尺度の作成に取り組んだ。 具体的には,「使えない上司」に関するインターネット上のさまざまな記事を収集し,複数の記事が指摘しているほぼ同一の特徴や対処法は1つにまとめるなどの処理をした上で,「使えない上司」を捉えるための30項目からなる質問票を開発した。調査会社を経由して諮問票調査を行った結果,「使えない上司」に関する3つの下位次元が発見された。同時に,「使えない上司」への対処方法についても,3因子が発見された。さらに,これらの3因子が成果変数に及ぼす影響と,その先行要因に関する分析を行った。この分析結果は,2024年度の経営行動科学学会(年次大会)で報告する予定である。 また上記に加え,本研究課題のきっかけとなったサービス提供場面におけるフォロワーシップに関する分析を行った。Kellyが示すフォロワーシップには,「自分で考え,建設的批評をし,自分らしさを持っている,革新的かつ創造的な個人を表現した独自の批判的思考(independent critical thinking)」が含まれており,「使えない上司」への対処法との比較分析が可能になると考えたが,データからはこのような対処法は抽出できなかった。この成果は,2023年度の経営行動科学学会(年次大会)にて報告した。「使えない上司」の認識とフォロワーシップ行動には何らかの関連性があると考えており,引き続き検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「使えない上司」を示すテキスト情報が,思った以上に簡単に見つかったため,予定していたテキストマイニング作業を省略することができた。評価尺度の作成についても,17項目-3因子構造のひな型ができたため,今後はこれを使って実証分析を行っていくつもりである。
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今後の研究の推進方策 |
23年度で実施した調査によって,「使えない上司」が部下に及ぼす影響に関する分析まで,大まかに終えることができている。分析結果は,abusive supervisionなどの結果とも類似していることから,今後はこれらの研究領域で用いられているシナリオ実験などの調査手法の取入れも検討している。
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