研究課題/領域番号 |
23K01632
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
中原 孝信 専修大学, 商学部, 教授 (60553089)
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研究分担者 |
小田 朋宏 株式会社SRA(先端技術研究室), 先端技術研究室, 研究員 (00580383)
松下 光司 中央大学, 戦略経営研究科, 教授 (40329008)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ネットワーク / 相関ルール / 潜在的関係 / gOLAP |
研究実績の概要 |
本研究は、「潜在的情報を捉える技術の開発と、潜在的な情報から仮説の導出を行うための方法論の構築」を目的として実施している。具体的には、ネットワーク構造データから隠れた関係性を明らかにし、その背後にある潜在的な概念をインタラクティブに可視化する技術の開発、及び仮説導出のプロセスの理論化を行うことを目指している。さらに、得られた技術を消費者行動研究へ応用し、新たな知見の獲得を目指している。 初年度は、実施計画に基づき、既存のネットワーク分析ツールであるgOLAPにグラフ研磨技術を実装することで、購買履歴データを用いた潜在的な関係性の抽出を試みた。このプロセスにより、相関ルールから潜在的な関係性を捉え、それを視覚的に描画することが可能になった。gOLAPは、新たな分析の視点とより深い洞察を提供する能力を備えています。 研究の具体的な成果としては、研究分担者の小田氏は、グラフ研磨の結果をインタラクティブに可視化する技術を開発し、この新しい技術を活用して、長谷川香料株式会社と新たなフードペアリングの可能性を探る研究を行った。この成果は、日本マーケティング学会での発表を通じて、潜在的な情報発見とその仮説導出の有用性が認識されることとなりました。 この研究は、データから隠れた情報を読み解く新しいアプローチを提案し、特に消費者行動の理解において新たな視点を提供するものです。今後もこの技術の精度を高め、さらなる応用分野への展開を目指していきます。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究状況が「概ね順調に進展している」と評価できる理由は、計画された研究目的の達成に向けて、具体的かつ実質的な進展を示すことができた。本研究は「潜在的情報を捉える技術の開発」と「仮説導出のための方法論の構築」を目的としており、これらの目的に対して成果が得られた。
まず、ネットワーク構造データから隠れた関係性を明らかにするための技術開発において、gOLAPツールにグラフ研磨技術を実装し、購買履歴データを用いた潜在的な関係性の抽出を行うことができた。この技術により、データ内に隠れた相関ルールを迅速に抽出し、視覚的に描画することで、データからの洞察を深めることが可能となった。これは、潜在的な情報を直観的に理解しやすくすることで、研究者だけでなく実務者にも利用価値があると考えられる。
本研究では、計画に従った進捗があり、具体的な技術開発と理論の構築が進行中であるため、研究状況が「概ね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策としては、以下の2点が重要と考えられる。第一に、得られた技術の精度向上と安定性の確保を図ること、第二に、応用分野の拡大を目指し、gOLAPを利用した更なる適用事例を作ることである。 技術の精度向上と安定性の確保: 現在のgOLAPツールに実装されているグラフ研磨技術などのアルゴリズムを見直し、可視化の精度をユーザーの意見をもとに向上させるための改良を行う。 応用分野の拡大: 消費者行動研究のさらなる応用を検討する。知見の発見を行うために新たなデータでgOLAPを利用することや、分析テーマをフードペアリングだけではなく、更に展開し、仮説発見のプロセスを明確化する。 これらの推進方策を通じて、本研究課題の技術的な価値を高め、広範な応用分野への適用事例を増やし有用性を示していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由 主に学会出張旅費の支出と謝金の支出が当初の予定よりも少なかったことに起因している。海外出張に関しては、研究成果が得られたタイミングと国際会議の開催時期が合わなかったことから、参加を見送る判断をした。今年度のデータ収集にかかる謝金の予算についても、データ収集の規模を小さくして始めたことで、予定の費用より低コストで抑えることができた。
次年度にはこの未使用分を活用し、再度のデータ収集と国際会議への参加を行う予定である。
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