研究課題/領域番号 |
23K01640
|
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
岸谷 和広 関西大学, 商学部, 教授 (40330170)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | ディスカウンティング |
研究実績の概要 |
前年度は、情報の信頼性に関するディスカウンティングに関する仮説を構築するために理論的研究領域の検討を行った。検討した理論的領域は、心理学におけるディスカウンティングの分野、情報源効果の分野、メタ認知における分野である。それらを検討することから、情報を割り引いて解釈する程度は、情報源の提示の順序や自身の解釈に関する自信の程度が関係していることが理解できた。自身の解釈に対する自信とはメタ認知の領域である。メタ認知とは、自身や他人に対する心的状況に対する考えであり、人々が自身の考えを管理しコントロールする過程である。自信とは、自身の解釈に対する考えなのでメタ認知の領域に属するといえよう。こうしたメタ認知は、自身の理論を用いて自身の変化に対して誤った帰属を行う場合がある。例えば、Webページを評価する際に、フォントなどの見やすさなどの流暢さ(フルーエンシー)の知覚によって好意的な態度が形成されているのにも関わらず、自身の態度の変化に対して、人に影響されやすいと自身に対する考えがある場合、Webページの登場人物、ブロガーやインフルエンサーに対する好意が原因として帰属される。先ほどの情報源の提示の順序は、こうした人々の原因の帰属のあり方と組み合わさることで、情報の信頼性を割り引く行動にも作用していることが想定できる。このような基本的な枠組みの中で、情報源の提示順序以外の心理的な変化に作用する要因、自信以外に帰属方法となるメタ認知的な変数を次年度以降検討することで、仮説モデルを詳細に検討する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献調査に予想以上の時間を費やしたことで仮説モデルの確定まで至らなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
速やかに仮説モデルを詳細に検討することで基本的な枠組みと、それを検証する実験デザインを確定し、プレテストの実施を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
仮説モデルを作成するために文献レビューに予想以上の時間を費やしたことで、実験のプレテストを実施できず、外部委託費、人件費を支出できなかったことと、実験に関する専門知識の獲得のために計上した旅費も支出しなかったために齟齬が生じた。次年度は、プレテストの実施と仮説モデルの確定を速やかに行う。
|