研究課題/領域番号 |
23K01678
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
福島 一矩 中央大学, 商学部, 教授 (50548881)
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研究分担者 |
山田 哲弘 中央大学, 商学部, 准教授 (90707085)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 非倫理的向組織行動 / 目標設定 / 目標の難易度 / 目標コミットメント |
研究実績の概要 |
本研究課題は,マネジメント・コントロールの一貫として行われる目標設定やその達成に向けた管理活動に着目し,それらがマネジャーの非倫理的向組織行動(unethical pro-organizational behavior; UPB)に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。UPBとは,上司の指示やジョブディスクリプションによるのではなく,従業員が自発的に行うもので,社会的には非倫理的とされる行動や不作為と定義される(Umphress et al., 2010 )。営業部門の管理職を対象とするウェブ調査により収集したデータの分析に基づき,目標がUPBに関与しようとする意思(Willingness to UPB; WUPB)に及ぼす影響について検討した。 その結果,第1に,目標の難易度とWUPBの間には逆U字の関係があることが確認された。これは,目標の難易度があがるにつれてWUPBが上昇するものの,一定以上の難易度を超えると目標を達成しようという意欲が低下し,目標達成の手段としてのWUPBも低下することを示唆している。 第2に,組織に対する負い目を感じている管理職において,目標に対するコミットメントとWUPBの間に逆U字の関係があることが確認された。これは,組織から課された目標の達成状況が芳しくなかったり,職責が十分に果たされていなかったりする管理職の場合,目標コミットメントが高くなるにつれてWUPBが上昇するものの,一定のコミットメントの水準を超えると目標が内部化されることでWUPBが低下することを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は,論文執筆,学会報告を通じて研究成果の公表を行った。具体的には,目標の難易度とWUPBの関係については,国際的な査読つき学術誌への論文掲載が決定した。また,目標コミットメントとWUPBの関係については,国内学会において報告を行った。以上の点から,目標設定やその達成にむけた管理活動とUPBの関係についての検討は順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ここまでの研究では目標の種類を同質的なものとするために営業職を対象とする調査から得られたデータに基づく分析を行ってきた。しかし,目標の種類が異なることによって,取り得る選択肢が変わることも指摘されており,同様の結果が確認されるとは限らない。そこで,調査対象を変えてデータを収集し,さらなる議論を行い,発見事項の頑健性を高めることを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は論文執筆と学会報告が中心となったため,当初想定したよりも利用する経費が少なかった。2024年度は新たなデータ取得のためのウェブ調査も計画しており,その調査費用に利用することを予定している。
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