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2023 年度 実施状況報告書

コロナ禍における減損会計情報と企業業績・株価の関連性研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K01702
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

吉田 和生  名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (30240279)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワード新型コロナウイルス / 減損会計情報 / 将来業績 / 株価
研究実績の概要

2023年度においては企業行動を中心とする先行研究について調査した。新型コロナ感染症のようなマクロショック時における企業の利益管理についても研究が行われている。例えば、リーマンショック、自然災害、2014年石油価格ショック、中国の経済政策リスクについて、企業の利益管理行動が解明されているが、それぞれの結果は様々であり、一貫した傾向は確認されていない。新型コロナ感染症についてはJordan et al.(2021)はアメリカ企業の利益管理について検証している。企業の利益分布からは利益管理がコロナ禍において増加していることは確認できなかった。また、Hsu and Jan(2023)はアメリカ企業の利益管理行動について、NewEconomy企業(PC、ソフトウエア、製薬、電機、通信)とOld Economy企業に分類して分析している。Old Economyの損失企業では2020年においては裁量的発生高(DA)が減少し、2021年においては増加している。また、当該企業の利益の価値関連性が低いことも明らかにしている。
また、リスクの増加に対する企業の対応についても分析が行われている。例えば、Qin et al.(2020)は上海・深セン上場企業を対象に現金保有比率について分析している。将来業績が悪化すると見込まれるため、当該比率が増加していることを明らかにしている。また、Boumlik et al.(2023)やCejnek et al.(2021)では配当政策について分析している。コロナ禍において配当(特に現金配当)を抑制しており、負債が多いリスクのある企業ほどその傾向が強いことを示している。こうした研究が行われているが、コロナ禍における減損会計を直接分析した研究は行われていない。本稿では減損会計に焦点を当てて、将来業績との関係及び株式市場の評価について分析する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度は新型コロナウイルスによる企業の会計行動への影響について先行研究の調査を行った。こうした研究は国内外で急速に展開されており、本研究のベースとなる。
2024年度以降においては、市場評価に関する先行研究を調査しつつ、仮説の提起やデータ分析を進めることを予定している。

今後の研究の推進方策

2024年度においては、新型コロナウイルスが2023年5月8日に5類感染症に変更されるまでの期間を通して、様々なデータを整理する。この整理によって5類に移行するまでの約3年半における当該感染症の全体像を明らかにする。
また、新型コロナ感染症に対する金融庁や日本公認会計士協会の対応状況について整理する。決算期日の延期や会計上の見積りについて、様々な対応を実施された。これらの制度的議論を行う。
そして、データ収集を行い、パイロットテストを実施する予定である。本研究では「減損損失の決定要因」、「減損損失と将来業績の関係」、「減損損失の市場評価」の3点について分析する。それぞれについてコロナ前の期間とコロナ禍の期間を比較して、コロナの影響を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

今年度においては、新型コロナウイルス感染症に関する先行研究の調査を重点的に実施した。そのため、ホームページ上における検索や学術論文の整理を行ったため、研究経費の使用が少なくて済んだ。
来年度においては、データの収集や分析を行うとともに、関連学会(日本会計研究学会、日本経済会計学会、日本経営財務研究学会など)に出席して、新型コロナウイルス感染症に関する研究の調査を行うために研究経費を使用することを計画している。

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公開日: 2024-12-25  

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