研究実績の概要 |
本研究は、1960-80年代東アジアにおける音楽産業の形成過程と文化冷戦の構造を、日本の音楽産業の機能と役割から明らかにすることを目的とする。2023年度には、資料調査:日本、韓国の国会図書館を中心とした各種の資料館とデータベースを中心に日本の音楽産業関連文献、政策・メディア・産業資料を収集し、歴史化・理論化作業を行なった。この作業を通じて、日本の音楽産業が東アジアの音楽政策・産業・文化をどのように統合したのか、東アジア諸国の音楽政策・産業・文化は日本の音楽産業をどのように消費し、どのように統合されていったのか、この日本の音楽産業を中心とした東アジアの音楽空間は、欧米諸国とのどのような関係性を持ち、冷戦においてどのような役割を担ったのかという問いを検証した。公表した成果は以下の通りである。 (単著)①『日韓ポピュラー音楽史: 歌謡曲からK-POPの時代まで』(慶應義塾大学出版会, 2024) (学会発表)①「解放と開放のあいだ 戦後韓国のポピュラー音楽における日本的なものをめぐる諸戦略」JASPM日本ポピュラー音楽学会 第35回年次大会ワークショップ「方法としての海域音楽交流史―貫戦 期の日本をめぐって―」2023年12月10日、四国学院大学 (海外招聘発表)①「韓流からみる<日本大衆文化禁止>」ソウル大アジア研究所韓流研究センター、6月28日(水)、zoom開催)、②「「1998年」を考える ポピュラー文化と日韓の相互認識」国際交流基金・仁川大学校共催韓国における日本文化開放25周年記念シンポジウム 「いま、日韓文化交流の深層を考える」2024年1月27日、韓国・仁川大学 こうした著作の公表、国内外における研究発表、メディアを通じての社会的発信を行うことで、本研究の学術的かつ社会的インパクトを再確認した。
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