研究課題/領域番号 |
23K01722
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 英三郎 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任講師 (20743040)
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研究分担者 |
堤 敦朗 金沢大学, 融合科学系, 教授 (20536726)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 精神健康 / 難民 / 社会統合 / 文化 / 青少年 |
研究実績の概要 |
2023年度は、ヨルダンでの公立学校、公的医療施設において難民を含む青少に直接接する機会のある教職員、保健医療従事者を対象としたインタビュー調査を行った。これらの質的インタビューデータを内容分析の方法論を用いて分析し、青少年の精神健康とそれを取り巻く様々な社会文化要因を明らかにした。この分析結果は、2024年度に学術論文として投稿予定である。
また、COVID-19のパンデミック前後でのヨルダンでの難民を含む青少年の精神健康をテーマにしたスコーピングレビューも実施済である。現在preprintとしてサーバー上で結果は公表済であり、学術論文として投稿中である。
さらに、これらのレビュー研究結果も踏まえつつ、ヨルダン全土の青少年を対象とした大規模な精神保健疫学調査も実施し、データ収集、データクリーニング、初期分析が完了した。この研究は、学校単位での層別ランダムサンプリングに加えて、難民キャンプ(パレスチナ難民、シリア難民等)やインフォーマル教育施設なども対象施設に加えたヨルダン全土を代表するデータの収集に成功した。データセットは、約8000人の研究参加者に関する、うつ、不安、トラウマ・PTSD、発達障害等の様々な精神健康指標と、生活状況、社会文化要因、社会統合指標などを含んでいる。現在、本データセットより3本の学術論文が投稿中であり、2024年度もさらに詳細な分析を加えて、複数本の学術論文を追加投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2023年度(研究初年度)終了時点で、必要なデータ収集が完了しており、既に複数の論文が投稿中である。2024年度(第2年度)は、さらなる詳細なデータ分析と追加の論文投稿を行う予定であり、研究進捗状況は計画以上に順調だと判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で得られつつある知見をヨルダンの政策提言に盛り込むとともに、今後はこの研究結果に基づいた難民を含むヨルダン青少年の精神健康の促進に関わる介入研究を企画するとともに、社会統合の在り方に関する更なる観察研究を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度はパレスチナ情勢の悪化に伴い予定していたヨルダン調査を延期したため、旅費や謝金等に残額が生じた。2024年度以降、政情を確認しながらデータ収集を予定している。安全性に懸念が持たれる場合は、オンラインでの情報収取などを主として論文掲載費用などに振り替える予定である。
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