研究課題/領域番号 |
23K01777
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
稲葉 昭英 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (30213119)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 離婚 / 社会的格差 / 階層 / 家族の不安定性 / 非同居親 / ライフコース / 家族類型 / メンタルヘルス |
研究実績の概要 |
稲葉は日本離婚再婚家族と子ども研究学会『離婚・再婚家族と子ども研究』に論文「離別母子世帯における非同居父と子の交流が子に及ぼす影響」、三田社会学会『三田社会学』に論文「結婚の脱制度化命題の検討」を発表した。さらに、福祉社会学会大会において招待講演(シンポジウム)「家族変動の階層的差異と福祉社会学研究の課題」を報告した。この内容は、2024年5月刊行の『福祉社会学研究』に論文「男女共同参画の進展と子どものライフコースの不平等」として掲載される予定。このほか、日本家族社会学会『家族社会学研究』において招待論文「森岡清美の家族類型論」を執筆し、家族問題研究学会例会において招待講演「離別母子世帯における別居父と子の交流とその意味」をおこなった。 特筆すべき事項としてドイツの教育社会学社Frederick de Mollとの共同研究の成果があげられる。共著論文“Transformations of early childhood in Japan: from free play to extended education”をThe Emerald Handbook of Childhood and Youth in in Asian Societies: Generations between Local and Global Dynamics(UK: Emerald Publishing)に投稿し、査読を経て論文が掲載された。 連携研究者吉武理大は単著『家族における格差と貧困の再生産』を発表した。 また、2023年8月は連携研究者の夏天らとアメリカ社会学会大会に参加し、在米の研究者たちと情報交換ならびに議論を行った。夏天は『家族研究年報』に論文「中国における子ども期の「留守児童」経験と普通科高校進学」を発表した。連携研究者鏑木凛は修士論文『母親の精神疾患と子ども』を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
もともと、同じような研究関心を有する研究者による共同研究であり、共同研究者参加者間の研究交流を活発に行いながら、各自が自分の研究を進めている。研究代表者(稲葉)についていえば、2023年度はかなりしっかりとした業績を発表することができたと自負している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は研究2年目の年度であり、ドイツから教育社会学者Fredrick de Mollを慶應義塾大学に特別招聘教授として招聘、その後彼と共同研究を進める予定である。具体的には厚生労働省「21世紀出生児縦断調査」データを用いて、社会階層によるペアレンティングの差異、その学歴達成などに対する影響を検討していく。この行動研究には連携研究者の夏天も参加予定である。 また、連携研究者をふくめた研究会を開催し、研究交流を図ると同時に研究を推進していくことを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は海外の学会大会にはアメリカ社会学会大会しか参加しなかったが、これはあまりにも円安が進み、海外出張が予算的に難しかったことがある。ちなみに、アメリカへの航空運賃は往復で例年の3倍近くかかっている。2024年度はドイツから教育社会学者Frederick de Mollを招聘するため、その費用(日本での滞在費)を支出することが年度で最大の支出となる。
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