研究課題/領域番号 |
23K01785
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
ライカイ ジョンボル 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (20552699)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 家族研究 / パラダイム研究 / 国際比較研究 / 西洋と非西洋地域 |
研究実績の概要 |
本研究は、科学研究費助成金プログラム基盤研究(C)「家族変動と個人化に関する社会学的な言説の国際比較研究:ユーラシア地域を事例に」(2018年~2023年)の延長線上に位置し、家族に関する社会学的研究に潜在するパラダイムのあり方を明確にすることを目的としている。具体的には、西欧北米地域とユーラシア地域の非西洋文化圏(=東欧や東亜)の国々、そしてトルコを対象に、社会生態学的な観点から、家族研究のパラダイムを形成する社会科学的探求方法やその中に埋め込まれた哲学的な理念を分類・分析し、家族研究のパラダイムの形成と転換過程を明確にする。本研究の初年度である2023年度においては、以下のような研究を進めた。 今年度は、西欧北米地域、特に米国を中心に、さらにイギリス、ドイツ、フランスなどにも注目し、現地の家族研究の状況を調べた。この研究では、現地の家族社会学的研究のトピックや課題の現状に加えて、その歴史的な変遷にも注目しながら検討を行い、主流となる社会科学的な探求方法とその哲学的な理念について調査した。具体的には、①対象とした各地域でどのような研究トピックと課題が関心を集めているか、また②それらのトピックと課題がどのような探求方法と哲学的な理念を持って研究されているかについて研究した。その後、③現地の社会文化・社会政治的な環境を検証してから、④研究トピックや研究課題、そして探求方法および理念と社会文化・社会政治的な環境との関連性について考察した。調査の結果、西欧北米地域におけるリベラルな社会環境との関係で、家族に関する研究トピックや研究課題が非常に多様であることが明らかになった。また、これらの研究に使われている社会科学的探求方法においても、自然科学的アプローチ、記述主義、批判的社会科学、ポスト近代的アプローチ、そして解釈学などのような幅広い研究方法が採用されていることが明確になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度に注文した書籍やデータの中には、まだ届いていないものもある。また、今年度には米国での現地調査(資料収集や現地の研究者へのヒアリング)を計画していたが、先方の都合などの関係で延期することになった。
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今後の研究の推進方策 |
来年度(2024年度)には、東欧地域を重点的に対象に、2023年度に使用した研究手法を用いて研究を進める。具体的には、現地の家族社会学的研究における研究トピックと研究課題の変遷を異なる時代にわたって確認し、主流となる社会科学的探求方法とその哲学的な理念について調査する。具体的には、①各地域でどのような研究トピックと研究課題が注目を集めているか、また②それらのトピックがどのような探求方法と哲学的な理念を用いて研究されているかについて検討する。その後、③現地の社会文化・社会政治的な環境を検証してから、④研究トピックと研究課題、そして探求方法および理念と社会文化・社会政治的な環境との関連性について考察する。一方で、東欧地域で特に活発な家族研究が行われているハンガリーまたはポーランドにおいて(教育研究機関の状況に応じて)、フィールドワーク(資料収集)を行う。また、2023年度において対象とした西欧北米地域の家族研究の現状について明確にしたことを背景に、学術論文を執筆する。それに関わって、米国での現地調査の実施可能性についても改めて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
① 本研究において、西欧北米地域と東ヨーロッパおよび東アジア諸国、そしてトルコを事例に、各地の家族研究者に(現地の家族研究のあり方についての情報収集に関して)協力してもらっている。2023年度においては米国でフィールド調査(資料収集や現地の家族研究者へのヒアリング)を計画していたが、現地の協力者の都合などにより延期することになった。 ② 本研究において、様々な(情報収集や分析のために使いたい)資料(テキストなど)が必要である。そのうち多数がすでに到着しているが、2024年度において、必要な資料を注文し続ける。
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