研究課題/領域番号 |
23K01798
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
西田 心平 北九州市立大学, 基盤教育センター, 教授 (00449547)
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研究分担者 |
楠田 剛士 宮崎公立大学, 人文学部, 准教授 (20611677)
川口 隆行 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (30512579)
高山 智樹 北九州市立大学, 文学部, 教授 (70588433)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 戦後文化運動 / 八幡製鐵所 / 地方都市 / 左翼思想 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は北九州八幡製鐵周辺の職場・サークル雑誌を対象に、雑誌どうしの関係性や書き手の作品の軌跡、書き手のオーラルヒストリー調査を通じ、北九州から見た地方都市における文化運動における左翼思想の系譜を明らかにすることである。 2018年から2022年にかけて行ってきた八幡製鐵所発行の職場雑誌『製鉄文化』やその周辺で発行されてきたサークル詩などの収集と読解を踏まえ、個々の作品の系譜や書き手の思想の変遷を明らかにする。 近代化以降、企業城下町として発展した北九州都市は官営製鐵所の操業を柱として保守的思想の系譜を担ったと考えられる。だが実際には、その周辺でそれに抵抗しながら革新的思想の流れも存在した。その水脈を戦後の文化運動の中に探りつつ、その運動にかかわった労働者や書き手の作品を検討することで浮かび上がらせることが狙いである。 その一環として、2023年度は八幡製鐵所において1920年に起こった大争議およびそれを主導した浅原健三という人物の当時の思想と行動について明らかにした。それは職工と職夫の間に隔たりを設けず、横断型の組合づくりを基盤とするアナルコ・サンジカリズムにもとづくもとであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の初年度に示した文化運動雑誌の投稿者・作品名・編集者等のリスト化は必ずしも順調には進められていないが、次年度の計画の一部であった八幡製鐵所における左翼思想の源流の一端を明らかにすることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
以下の4点が研究を進めていく上での柱となる。 第1に、浅原健三の思想の系譜を明らかにする。とくにこれまで明らかになっていない第一次共産党との関係を精査する。八幡製鐵所での大争議以前とその後の行動にわたって文献を調査する。 第2に、戦後北九州で独自の文化運動を展開した佐木隆三とその関係者の作品群を読解する。まず佐木が1961年に書いた『大罷業』という作品は、上記浅原健三が主導した大争議がモデルとなっている。浅原の思想の系譜が明らかになることで、1960年代における同作品の意味や読み方が変わってくると考えられる。また佐木が周囲の関係者とともに作成・発行した『新社会派』『労働北九州』『緑と太陽』などの雑誌群の読解を進める。 第3に、戦後北九州の文化運動を相対的に把握するため、他地方・都市の文化運動研究を吸収すること。研究者を招聘して共同研究を行うことや、文学・社会学関連の学会にて文化運動と地方都市のデスカッションを立案・実施するなどを検討する。 第4に、戦後北九州の文化運動を担った人物へライフヒストリー調査。職場雑誌等の文献だけでは収取できない情報、あるいは文学だけではない芸術や文化学校などに関する運動の経緯についての情報収集を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度の研究会会場が北九州市立大学であったため、研究代表者および研究協力者2名分を合わせた計3名の旅費・宿泊代がかからなかったため。 次年度は新たな研究分担者を加えて研究会を行っていく予定のため、当該分担者への分担金として請求した助成金の一部を活用していく。
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