研究課題/領域番号 |
23K01813
|
研究機関 | 青森県立保健大学 |
研究代表者 |
坂下 智恵 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (70404829)
|
研究分担者 |
大山 博史 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (10340481)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
キーワード | 自殺 / 地域 / 生活問題 / ソーシャルワーク |
研究実績の概要 |
地域の一般住民を対象としたこれまでの研究では、抑うつ症状と種々の生活問題が併存し、かつ、両者の消長が相互に影響し合っており、その傾向は中高年者で顕著なことが明らかとなった。したがって、抑うつ症状を有する中高年者の支援には、医学的治療のみならず、生活問題の解決に向けた社会福祉個別援助や、地域に潜在するハイリスク者へのアウトリーチ等の心理社会的介入が必要となる。 青森県内の自治体で実施されているうつ病スクリーニングを用いた自殺予防事業において、抑うつ症状を有する通院者の生活問題に着目した。 X自治体(人口1.5万人)ではR5年度に40歳~75歳の一般住民に対し、うつ病スクリーニングを実施している。対象者は壮年者が992人、65歳以上高齢者が928人の計1920人であった。受診者はぞれぞれ、415人(42.4%)、658人(71.7%)と年齢が高くなるにつれ、受診率も高かった。その過程で把握された抑うつ症状有症者およびうつ病ハイリスク者はそれぞれ、12名(2.9%)、12名(1.8%)であり、壮年者の割合が高かった。このうち、精神科または内科等へ通院をしている者は、壮年者では9人(0.9%)、高齢者では5人(0.8%)であった。スクリーニング過程の中で自由記載や本人からの回答において、生活・労働問題に対する制度・サービスを利用していたと申告した者は壮年者では1名、高齢者では1名であった。うつ病スクリーニングの過程で新たに制度・サービスを紹介した者は1名(高齢者介護サービスの利用勧奨)であった。従来のうつ病スクリーニングによるアプローチでは生活問題の把握が難しいと推察され、ニーズがあるものの生活問題の申告や相談をしない者へのアウトリーチが課題となった。今後、スクリーニングを含めた住民とのコンタクトにおいては、メンタルヘルスのみならず生活問題の把握に工夫を要する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に沿って、概ね当初の予定通り実施した。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、地域在住の一般住民に対する抑うつ症状と生活問題の関連やその把握のためのアウトリーチの必要性およびその方法について検討していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度予定していた学会参加や調査の規模が縮小されたため、次年度以降の研究費用に充てる。
|