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2023 年度 実施状況報告書

家族介護者支援ツールとしての「介護良いこと日記」の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K01822
研究機関浦和大学

研究代表者

栗延 孟  浦和大学, 社会学部, 准教授 (50584512)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード介護良いこと日記 / 介護に対する肯定的評価 / 介護負担感 / 家族介護者
研究実績の概要

「介護良いこと日記」を書くことが家族介護者の介護負担感・肯定的評価に与える影響について検討した。日本の親を介護する27人の介護者の参加者をクラウドソーシングで集めG「介護良いこと日記」群(15人)と「介護日記」群(12人)とにわけた。それぞれ14日間の日記を書くよう指示し、事前・事後のアンケートで、精神的健康感(WHO5)、介護負担感(ZBI)、介護に対する肯定的評価(PACS)、ストレスレベル(PSS)を評価した。その結果、両群ともZBIとPSSは低減しており、日記を作成することでこのような効果がみられることを確認した。一方で、WHO5の向上、PACSの向上は「介護良いこと日記」群のみにみられ、あえて介護に関わる「良いこと」を書く意義が確認された。
また、半年後に参加者に同様のアンケートを行ったところ、介護良いこと日記群はPACSは高いまま維持されていることが確認できた。「介護良いこと日記」を書くことで、介護に対する認知が変容した結果だと考えられる。
また「介護良いこと日記」が家族介護者のWHO5,ZBI,PACSに与える影響について,被介護者との信頼関係がどのように影響を及ぼすのか検討することを目的とした。WHO5,PACSについては,信頼関係が及ぼす影響は認められなかった。親子の関係に関わらず,「介護良いこと日記」の方が,これらの側面にはポジティブな効果があると考えられる。一方でZBIについては,信頼関係が高い群が「介護者が介護をはじめたためにこれまでの生活ができなくなることによって生ずる負担」であるRole Strainが低減していた。1つの可能性として,親との信頼関係が高い群は日記を書くことにより,社会参加が困難になった要因を親の介護と切り離して考えられるようになった可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

「介護良いこと日記」を書くことが家族介護者の介護負担感・肯定的評価に与える影響についての研究はほぼ終了しており、現在論文を投稿中である。また半年後の追跡研究についてのデータの収集,分析は終了しており,学会発表・論文の執筆を準備している。
また他者が書いた「介護良いこと日記」をことが家族介護者の介護負担感・肯定的評価に与える影響についての研究については現在データ収集を行っており、順調にデータが集まっている。
2年目~3年目に実施する予定である「介護良いこと日記」コミュニティが家族介護者に与える影響の検討についてであるが,すでに準備が進められており夏ごろには実施が可能な状況となっている。
当初の予定より、研究1が早く終了しており、かつ良い結果であったので、計画以上の進展と言ってよい。

今後の研究の推進方策

研究を遂行する上では、「介護良いこと日記」を利用した家族介護者が集まるコミュニティを作成し、どのように参加者を多く集めるか、またそのコミュニティを活性化させるのかが課題となる。
参加者を増やすための案としては、ケアマネ等の協力を得ながら家族介護者に声をかけてもらうなどの方法が考えられる。その他、SNSの利用等も考えられる。
活性化させるための案としては、ケアマネ等専門職も巻き込みながら必要があれば投稿などに対して個別にコメントを返すなど、専門職の立場からファシリテートしてもらうことも必要かもしれない。また、botのような形で、すでに集めてある良いこと日記を研究者側から投稿することも必要かもしれない。

次年度使用額が生じた理由

現在投稿している論文の掲載料、校閲料が次年度に持ち越しとなっている。
また、現在行っている「介護良いこと日記」を読む研究については、調査会社に委託して参加者を集めた。この費用に関しても次年度への持ち越しとなっており、これに使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 親子の信頼関係が,親を介護する子どもの介護負担感・介護肯定感に与える影響2024

    • 著者名/発表者名
      栗延孟
    • 雑誌名

      浦和論叢

      巻: 70 ページ: 23-36

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 家族介護者の介護に対する肯定的評価を高める取り組みに関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      栗延孟
    • 雑誌名

      浦和論叢

      巻: 69 ページ: 23-38

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 「介護良いこと日記」の記述が家族介護者の介護への態度に及ぼす影響 ― 被介護者との信頼関係に注目して ―2023

    • 著者名/発表者名
      栗延孟
    • 学会等名
      日本社会福祉学会第71回秋季大会
  • [学会発表] 「介護良いこと日記」が精神的健康状態に及ぼす影響2023

    • 著者名/発表者名
      栗延孟, 富田瑛智, 松熊亮
    • 学会等名
      日本心理学会第87回大会

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公開日: 2024-12-25  

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