研究課題/領域番号 |
23K01843
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
田中 佐千恵 (福島佐千恵) 信州大学, 学術研究院保健学系, 助教 (60548767)
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研究分担者 |
杉山 暢宏 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (30422695)
鷲塚 伸介 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (60313855)
小林 正義 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (80234847)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | うつ病 / 復職 / リワーク / 職場環境調整 / 産業精神保健 / 連携 |
研究実績の概要 |
令和5年度では、患者10名、企業担当者22名に個別インタビューを実施し、患者8名、企業担当者15名のデータの一部解析を行った。すべての立場で共通した利点としては、患者は性格や特性を会社に理解してもらえ、会社から支援を受けられたことを挙げ、企業側は、従業員の特性や疾患について理解ができ、従業員に対して支援ができたことを挙げた。また両者はともに、患者や企業スタッフに寄り添う人が増えた、ということを利点として挙げていた。そのほか、リワークが患者・上司・産業医間のクッションになった、リワーク・産業医・患者が同じ方向性で取り組むことができた、働きやすい職場環境になった、復職可否の判定が信頼できる、産業医の負担が軽減される、などが挙げられ、利点としては、医療リワークと患者・企業の連携は患者(従業員)への職場での適切な配慮を促進する、患者、企業ともに安心感や負担軽減感が得られる、関係を円滑に保ち無駄な衝突を避ける、という3点が大きく挙げられた。一方で、すべての立場で共通した課題点は、企業のリワークプログラムに対する理解不足、連携が企業の規模、人手、態度に左右されること、様々な連携の不明瞭さ、リワーク中のお互いの様子が把握できない、企業と患者、医療側の立場による利害の違い、上司への負担の大きさ、復職後の支援の継続性への不安などが挙げられ、連携時の留意点として、連携前に、プログラムについて周知しておくことや患者がプログラムへアクセスしやすい環境づくり、企業の現状や職場の環境、参画者の姿勢を理解し、連携への参画者の役割を確認しておくこと、プログラム開始後には、お互いの様子を企業と密に連絡を取り合うこと、復職後のフォローアップ連携の必要性などが挙げられた。現在大企業のデータが多く、中小企業が1社しか集められていないため、中小企業の方のデータを意識的に収集していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた収集すべき人数のデータ収集を終えることができたが、内容的に、大企業に偏りがあり、中小企業のデータが少なくなってしまっているため。
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今後の研究の推進方策 |
中小企業の対象者のデータが少ないため、中小企業のデータを集中的に収集していく方針である。できれば中小企業の患者3~5名、企業担当者6~10名程度を目標に、個別インタビューを実施していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画で見込んだよりも安価に研究が進んだため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は令和6年度請求額と合わせて消耗品費として使用する予定である。
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